研究課題/領域番号 |
22K06042
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
松山 幸弘 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20312316)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 脊髄 / リンパ管 / 中枢神経 / 脊髄損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
中枢神経系にはこれまで長年リンパ管はないとされてきたが、近年その存在が確認され注目を浴びている。脊髄領域では2019年に初めて脊髄周囲にリンパ管があることが報告された。脊髄周囲のリンパ管の働きはわかっておらず、また脊髄実質内にリンパ管があるという報告は過去にない。 脊髄でのリンパの解剖、機能を解析することにより、いまだに未解明である脊髄疾患の病態解明や治療に新たな展望が発展すると期待される。
|
研究実績の概要 |
リンパ管の役割は、組織液や老廃物の輸送などが知られている。中枢神経系には長年リンパ管はないとされてきたが、近年その存在が確認され注目を浴びている。しかし脊髄内のリンパ管の存在は認められておらず、物質がどのようにドレナージされていくかは未だ不明な点が多い。本研究では脊髄実質内に注入した物質がどのような部位を通ってドレナージされていくか、リンパ管マーカーに注目して解析した。8-16週齢のWTマウス、及びVEGFR1-DsRed遺伝子改変マウスを使用した。マウスから脊髄を取り出し、リンパ管マーカーを観察した。また、脊髄実質内にトレーサーとしてOVA-647を2μl注射し、15分後に還流固定を行い、局在を観察した。三次元の観察としてCUBIC-R+による透明化手法を用い、共焦点顕微鏡および光シート顕微鏡で観察を行った。また二次元での観察として脊髄の切片を免疫染色し共焦点顕微鏡、及び透過型電子顕微鏡で観察した。 脊髄実質内に、リンパ管マーカーであるLYVE1を発現する脈管構造がみられ、またLYVE1はVEGFR1を発現する比較的太い血管の周囲に発現していた。また同構造はミクログリアマーカーであるCD68、Iba1も発現していた。免疫電子顕微鏡では、LYVE1は血管周囲の膜、及び細胞構造に発現していた。またトレーサーの実験では三次元の解析により、注射部位から離れた前正中裂の血管周囲に集積していることが観察された。さらには前正中裂にある血管の血管内皮細胞の外側、LYVE1陽性の膜構造の内側にトレーサーの集積がみられ、また一部はLYVE1陽性の細胞内に取り込まれていた。LYVE1はリンパ管内皮細胞上のヒアルロン酸レセプターであり、血管とリンパ管を区別するために有効とされているリンパ管マーカーである。本研究より、脊髄内のLYVE1陽性の細胞は、リンパ管構造ではなく、血管外をドレナージされる物質をミクログリアの様に貪食する働きをしていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
脊髄内のリンパ管の証明はできていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究でのミクログリアの様な働きをする脊髄内のLYVE1陽性の細胞が、脊髄損傷などの疾患においてどう関わっているのかを明らかにする。
|