研究課題/領域番号 |
22K06047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
江島 耕二 北里大学, 理学部, 教授 (30327324)
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研究分担者 |
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞傷害 / 細胞傷害性T細胞 / Nkg7 / 傷害顆粒 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞傷害性細胞は,パーフォリンなどの細胞傷害分子を含む傷害顆粒の中身を標的細胞の方向へ放出することにより標的細胞を傷害する。しかし,傷害顆粒の放出や生合成の制御機構については未だ不明な点が多い。本研究では,最近我々が傷害顆粒の制御に必須であることを明らかにした4回膜貫通型の傷害顆粒膜分子Nkg7について,その機能の解明を目指す。具体的には,Nkg7の傷害顆粒内側のループ部位や細胞質内C末端部位の一部をタグで置換した変異体を作成し,それらをNkg7欠損CTLに導入した細胞を用いることにより,Nkg7の細胞内局在(変化)の解析や,共局在する分子や相互作用する分子の同定を行う。
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研究実績の概要 |
細胞傷害性T細胞 (CTL) は,ウイルス感染細胞や腫瘍化した細胞を傷害して排除することにより生体の恒常性維持に寄与する細胞である。これらの細胞は細胞質内にパーフォリンやグランザイムと呼ばれる細胞傷害分子を含む顆粒 (傷害顆粒) をもち,その中身を標的細胞との接着面に放出することにより標的細胞を傷害することが知られている。しかし傷害顆粒の生合成や放出などの制御機構については未だ不明な点が多い。本研究では,最近我々が傷害顆粒の制御に必須であることを明らかにした新規細胞傷害関連分子Nkg7について,その作用機序を解明することを目的とする。具体的には細胞活性化前後のNkg7の細胞内の局在や,共局在・相互作用する分子,またそれに必要なNkg7分子上の部位を同定したい。方法としては,4回膜貫通型の傷害顆粒膜タンパクであるNkg7について,その顆粒内ループ部位や細胞質内C末端部位を一部タグで置換した変異体を作成し,それらをNkg7欠損CTLに導入した細胞を用いて,Nkg7の細胞内局在を解析し,共局在する分子や相互作用する分子を同定することを計画している。この計画の下,今年度は主に以下の2つの成果が得られた。① Nkg7について,第1ルーブの一部をFlagタグで置換した変異体,C末 (リソソームへの局在を決定するモチーフが含まれる) をFlagタグで置換えた変異体,及びその両方の置換を含む変異体を作成した。② Nkg7に対する市販の抗体で,フローサイトメトリーで使用できるものが無いため,Nkg7の第1ループとC末のペプチドをウサギに免疫することにより抗血清を作成した。得られた抗血清はペプチドに対して反応したが,C末のペプチドに対する抗血清についてはフローサイトメトリーでも使用することができた。今後これらの変異体や抗体を用いて,Nkg7の機能や局在について解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nkg7の変異体作成において,Nkg7の顆粒内ループ部分については,タンパクのループ構造内での使用に適していることが示唆されているPAタグ (ヒトポドプラニンの一部) を使用する予定であったが,市販の抗体が生産中止となり,使用できなくなってしまった。また,PAタグと置き換えた変異体を作成したが,入手していた抗PA抗体は反応しなかった。しかしループ部分についてもFlagタグを使用することでフローサイトメトリーでも使用できることが分かり,目的を果たすにあたって特に大きな時間的なロスにはならなかった。 申請者は本年度より所属先が変更となり,新しい研究室で研究を進めることになったため,その起ち上げにある程度時間がかかった。起ち上げの時間については計画時には想定していないものであったが,幸い変異体や抗血清の作成が特にトラブルもなく順調に進んだため,研究自体はほぼ当初の予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度に作成したNkg7の変異体や抗血清を用いて,主に以下のことを行う予定である。 ① Nkg7遺伝子欠損マウスからCD8陽性T細胞株を作成し,その細胞株に本年度作成したNkg7変異体遺伝子をレトロウイルスのベクターを用いて導入する。こうして作成されたNkg7変異体導入株の細胞傷害機能や顆粒放出反応について,野生型Nkg7導入細胞と比較することにより,CTLの細胞傷害機能におけるNkg7の第1ループやC末の重要性について検討する。② Flagタグに対する抗体,もしくは抗Nkg7抗血清を用いた共免疫沈降法により,Nkg7と相互作用するタンパクの探索を行う。③ 抗Nkg7抗血清や抗Flagタグ抗体を用いて,Nkg7のCD8陽性T細胞内の局在について解析する。その際,パーフォリンやグランザイムなど傷害顆粒内の分子との共局在についても検討する。④ Nkg7はCD8陽性CTLだけでなく,CD4陽性細胞にも発現することが示唆されたため,Nkg7を発現するヘルパーT細胞を同定し,その機能発現におけるNkg7の役割についても解析する。
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