研究課題/領域番号 |
22K06049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
戸村 秀明 明治大学, 農学部, 専任教授 (70217553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | OGR1 / 微量金属 |
研究開始時の研究の概要 |
微量金属は動物の生育上必須であるが、陸生動物ではその取得を食物摂取に頼っている。微量金属の欠乏や過剰摂取は生体機能に重篤な影響を及ぼすため、その感知、制御機構の発達が動物の進化に大きな影響を与えてきた。しかしながらその機構の実体は不明である。GPCRの一種であるOGR1はpH低下に加え、微量金属によっても活性化される多機能性受容体である。我々は異なる動物種間でOGR1オルソログの金属応答性が異なっていることを見出した。本研究では「OGR1が微量金属の感知、制御を司る分子である」の仮説に立ち、金属応答の特異性を決めるアミノ酸配列の特定を試みる。
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研究実績の概要 |
OGR1は細胞外pHの低下によって活性化するプロトン感知性GPCRである。これまでのOGR1の研究は、がん組織などpHが低下している組織で精力的になされてきた。一方、ヒト、マウスのOGR1が、プロトンに加えて微量金属によっても活性化される金属感知性GPCRであることが2015年に見いだされた。本研究では「OGR1が、いままで不明であった微量金属の感知、制御を司る分子であるのか、またそうであるのならOGR1は生理的、病態生理的にどのような機能を担っているのか」を実験及び解析により解明するため、まず「OGR1オルソログ間のキメラ受容体を利用して、金属の特異性を決定するOGR1のアミノ酸配列」を特定することを目的としている。 本年度は、ヒトOGR1とラットOGR1間でのOGR1応答の比較解析を行った。OGR1の活性化は、HEK細胞に各OGR1を発現させ、OGR1の活性化の程度をレポーターアッセイの測定系を用いて測定した。そして各OGR1の活性化応答のEC50値を測定し、応答性の違いを定量化した。 その結果、ラットOGR1はヒトOGR1と比べて、微量金属刺激による応答が右にシフトしていた。そこでこのシフトにラットOGR1のどの領域が関与しているのかを次に調べた。ヒトとラットOGR1間でキメラ受容体を作成した。そしてこのキメラ受容体の微量金属刺激による活性化を測定した結果、ラットの細胞外領域をもつキメラ受容体で活性化応答の減弱が観察された。 この結果は、種特異的な活性化を司るアミノ酸配列がOGR1の細胞外領域に存在する可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を開始した時点では、種による微量金属刺激に対する活性化応答の違いはOGR1の細胞外のヒスチジン残基の数や位置によるものと予想していた。しかしながら、ヒトとラットOGR1間でこれらのヒスチジンは保存されていることから、今年度の結果はその予想とは異なるものとなった。すなわちヒスチジン以外のOGR1の細胞外領域が、微量金属による種特異的な活性化応答に重要な役割を担っているという新たな知見を得た。このため当初の計画以上に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まずヒト、ラットOGR1間で、微量金属刺激により異なる応答を示す細胞外領域を、より細かな細胞外領域のキメラ受容体を用いて明らかにする予定である。次に応答の変化が観察される細胞外領域を他の動物種の相同領域と比較し、相同部分のキメラ受容体を用いた活性測定などにより、その領域が種特異的な応答を担う部位であることを確認する。これにより種特異的な活性化に関与するOGR1のアミノ酸配列の同定に近づけるものと予想している。
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