研究課題/領域番号 |
22K06051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2023) 基礎生物学研究所 (2022) |
研究代表者 |
北舘 祐 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10455214)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 精子形成 / 幹細胞 / ホメオスタシス / 自己複製 / 分化 / 生殖細胞 / 精子 / 精子幹細胞 / 密度恒常性 / 数理生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞の恒常性は未だ多くが謎に包まれている。精巣中の膨大な数の精子幹細胞は集団としてバランスを保つ一方、個別の幹細胞は不均一で確率的な運命をたどる。まとまりのない多様な「個」が「集団」として、どのように恒常性を保つのか?本研究は精子幹細胞が集団レベルでバランスよく維持されるメカニズムの解明を目指す。特に幹細胞密度の周期変動に着目して幹細胞が恒常性を保ちつつ分化細胞を生み出すメカニズム解明に挑む。
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研究実績の概要 |
幹細胞の恒常性は未だ多くが謎に包まれている。精巣中の膨大な数の精子幹細胞は集団としてバランスを保つ一方、個別の幹細胞は不均一で確率的な運命をたどる。まとまりのない多様な「個」が「集団」として、どのように恒常性を保つのか?本研究は精子幹細胞が集団レベルでバランスよく維持されるメカニズムの解明を目指す。特に幹細胞密度の周期変動に着目して幹細胞が恒常性を保ちつつ分化細胞を生み出すメカニズム解明に挑む。 これまで精子幹細胞の密度は常に一定であると考えられてきたが、精子幹細胞と分化細胞の数(密度)を定量することで、精子幹細胞集団の密度が8.6日周期で増減を繰り返すことが示唆された。幹細胞の密度は常に一定ではなく、微視的増減を繰り返しつつ、動的平衡を巨視的に保つと考えられる。さらに、幹細胞密度の周期特性はGDNF発現の周期性と正に相関することを見出した。GDNFによる幹細胞の制御機構を再定義するため、WTとGdnf発現量が半分のマウス(Gdnf+/-)との間で幹細胞の運命や性質(遺伝子発現)に違いがあるかどうか調べた。その結果、GDNFの周期的発現変動が幹細胞密度の周期変動を引き起こすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精子幹細胞密度の周期変動は「周期的に発現するGDNF」がドライビングフォースと予想された。ただし、GDNFが幹細胞を制御する一方、幹細胞はGDNFを消費することを示唆する結果が得られた。このことからGDNFと幹細胞は双方向に制御し合うことが予想される。 これを検証するため、私たちは数理モデル解析を行った。具体的には、GDNF発現量と幹細胞密度の実測値と「幹細胞がGDNFを競合する」という数理モデルから導き出されたシミュレーション値を比較した。シミュレーション値と実測値が合うことから、「幹細胞がGDNFを競合する」というモデルが支持された。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞の恒常性は様々な要素が莫大な数集まったシステムであり、要素の全てを含んだ理解は極めて難しく限界がある。私たちは数理生物学的解析を行う。数理解析は、数理モデルの変数をできるだけ減らして(多数の要素の中でGDNFに焦点を当てて)、よりシンプルに幹細胞の恒常性を理解することを試みる。
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