研究課題/領域番号 |
22K06061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高田 豊行 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (20356257)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 疾患モデルマウス / 可動遺伝因子 / ゲノム構造多型 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、申請者が複数の疾患および健常モデルマウス系統(以降、BRC5と記載する)を対象にして行った大規模長鎖ゲノム解析の結果を利用して、BRC5の系統特異的な疾患発症や表現型に関わると考えられる内在性可動遺伝因子(MGEs; Mobile genetic elements)の分布の違いなどのゲノム構造多型を探索することを目的としている。このため、BRC5の全ゲノム領域を対象にしたMGEsのカタログ化を行い、公開されている外部の大規模なゲノム解析や表現型情報などと統合情報解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、疾患型と健常型のマウスモデル系統、FLS/Shi (非アルコール性脂肪肝炎)、NC/Nga (アトピー性皮膚炎)、STR/OrtCrlj(遺伝性変形性関節症)、日本産亜種由来のJF1/Ms(ヒルシュスプルング病)およびMSM/Ms(健常型)、合計5種類(以降、BRC5と記載する)の全ゲノムを対象にして、各系統の特徴的な表現型に関連したゲノム多型を探索することである。特に長鎖ゲノム解読情報から得られた結果を活用して、これまで短鎖ゲノム解読情報のみでは検出が難しかった構造多型(SV)および内在性可動遺伝因子(MGE)の分布の違いに着目する。また、本申請研究が対象とする表現型について、ヒトとマウス双方の研究で利用可能な関連ゲノム多型のカタログ化も目指している。 本年度は、継続して表記マウス系統の対象疾患に関連した遺伝子発現情報やエピゲノム情報を各種の公共データベースから収集作業を進めるために、NCBIのGEO (Gene Expression Omnibus)やSRA (Sequence Read Archive)、GTEx (The Genotype-Tissue Expression)などを使用した遺伝子発現解析結果の検索を行った。エピゲノム情報や疾患関連情報の検索 については、引き続きUCSCゲノムブラウザ、VISTA Enhancer Browser、 Mouse Genome Informaticsなどから情報収集を行なった。今年度は新たに、論文により報告された情報を対象にした検索も追加した。なお、現状のBRC5のゲノムスキャホールドをリファレンス配列と比較可能な染色体レベルの高品質配列を構築する機会が得られたので、本申請研究の基盤情報となるSVやMGEの情報を一層高度化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗状況について、本年度も表記マウス系統や対象疾患に関連した遺伝子発現情報やエピゲノム情報などを公共データベースから収集するところから作業を進める。さらに、申請時以降に公開された新しいデータベース(プロモーターやエンハンサーなどのシス制御エレメントデータベースやヒトゲノム多型情報データベースなど)からも情報を収集するなど、探索の範囲を広げる。なお、他のプロジェクトにおいて、現状のBRC5のゲノムスキャホールドを参照配列と比較可能な染色体レベルの配列にする機会を得たので、この情報を使用してSVやMGEを検出する作業を進めた。そのため、当初予定より若干時間がかかっているが、情報自体は高品質化しており、多型検出のための情報の精度向上が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策に関して、表記の各系統の表現型に関連したゲノム多型を探索するため、各種の公共データベースから、表記マウス系統や対象疾患に関連した遺伝子発現情報やエピゲノム情報の収集を継続して進める。NCBIのGEO やSRA、UCSCゲノムブラウザや VISTA Enhancer Browser、GTEx以外にも、検索可能な情報があればこれも対象にする。本申請研究の基盤情報となるBRC5のSVやMGEの検出を引き続き行う。特に、長鎖ゲノム解読から得られた結果を活用して、短鎖ゲノム解読では検出が難しかったSVとMGEの分布の違いに注目した解析を継続して行う。他のプロジェクトにおいて、現状のBRC5のゲノムスキャホールドの高品質化を行う機会を得たので、スキャホールドを最新版にしてSVやMGEを検出する作業を引き続き行う。さらに、スキャホールドを染色体の座標情報に対応させる作業を進め検出したSVやMGEを他の系統と比較する。適切なSVとMGEの対応付けに関しても、標準的な基準について検討する。さらに、公開されているマウス系統の多型情報等を対象にして、本申請研究において解析しているマウス系統の多型情報と比較するなど、解析対象を拡張して新規のゲノム多型の検出を試みる。また、本申請研究が対象とする表現型に関連したヒトとマウス双方の研究で利用可能なゲノム多型カタログの作成についても、対象のデータベースや論文などの検索範囲を拡張して情報を収集する。本申請研究が対象とするマウス系統のゲノム情報について、申請時には想定していなかった高品質化を継続して進めることができており、令和5年度には参照配列と比較可能な染色体レベルのスキャホールド配列を得ることができている。そのため、この配列および座標情報を使用して当初想定した解析を慎重に行うことが経費の効果的な活用につながると判断し、一部の解析を次年度に行うことを計画している。
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