研究課題/領域番号 |
22K06064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 亜紀子 筑波大学, 医学医療系, 客員研究員 (10400681)
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研究分担者 |
喜納 裕美 (早下裕美) 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (60532728)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / 経口免疫寛容誘導法 / AAV / 筋ジストロフィー / カニクイザル / 羊膜由来間葉系幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで根本的な治療法がない筋ジストロフィーに対する、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療の可能性を検討する研究です。アデノ随伴ウイルスを用いますが、ウイルスやウイルスに搭載する遺伝子への免疫反応を抑えるために、従来用いられている免疫抑制剤ではなく、経口で羊膜由来の間葉系幹細胞を投与することにより免疫寛容誘導を行います。スギ花粉症の治療ですでに用いられている方法の応用で安全です。患者さんは遺伝子がなくiPS細胞などを用いる場合でも、欠損している遺伝子を導入する必要があり、また、新しい遺伝子産物に対する免疫反応を抑制する必要があります。筋ジストロフィー以外の遺伝子疾患にもこの方法は応用可能です。
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研究実績の概要 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は,臨床的には高度の筋力低下・筋萎縮,病理学的には骨格筋の変性・壊死を引き起こす平均寿命28歳の重篤な遺伝性疾患である. 根本的な治療法はなく,効果的な遺伝子治療が必要である. これまで応募者の研究グループは,骨格筋に遺伝子を効率的に導入できる組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を開発し,小型化されたマイクロジストロフィン遺伝子を使用してその治療の可能性を検討してきた.その結果,AAV遺伝子治療成功の鍵となるのは免疫反応のコントロールであることを明らかにし,安全な免疫反応のコントロール法の開発が遺伝子治療の臨床応用に必須であると考えた.免疫抑制剤であるタクロリムスの使用により,導入遺伝子の発現を延長できるという研究結果はすでに報告しているが,さらに安全性の高い免疫寛容を誘導する必要があると考え,本研究を計画した. 将来のDMDの遺伝子治療を目標として,非ヒト霊長類にて羊膜由来間葉系幹細胞による減感作により免疫寛容誘導を行い,導入遺伝子発現を持続させるため,当該年度は,昨年大量調整した遺伝子導入用のrAAVベクターと,KANEKAより共同研究として供与された免疫寛容を誘導するための羊膜由来間葉系幹細胞を用いて,中和抗体陰性の2頭のカニクイザルに対し実験を開始した.当初経口での羊膜由来間葉系幹細胞の投与を予定していたが,確実性を期するため,静脈投与に切り替え,現在まで,4,16,24週の生検が終了し,その結果を解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に,遺伝子導入用のrAAVベクター大量調整と,KANEKAより共同研究として供与された免疫寛容を誘導するための羊膜由来間葉系幹細胞の調整および中和抗体陰性のカニクイザルの選定が終了し,組み換えDNA実験の承認を得た.当該年度は羊膜由来間葉系幹細胞の経口投与については,投与量が安定せず,免疫抑制が不十分であったため、確実性を重視し,静脈投与で減感作を行うこととしたが,カニクイザル2頭に対し,rAAVベクターの投与を開始できた.抗原曝露後のインターフェロンγ産生能の減弱を確認し,免疫応答の誘導を確認した後,rAAV (AAV8CMVLacZ)をカニクイザルの左右の上腕二頭筋,前脛骨筋の計4箇所に直接注入(1x1013 vg/1箇所)した.現在まで,順調に4,16,24週の筋生検が終了し,LacZやベクターに対する血清抗体価の測定(ELISAまたはウエスタンブロット法)などの結果の解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
抗原曝露後のインターフェロンγ産生能の減弱を確認し,免疫応答の誘導を確認した後,rAAV (AAV8CMVLacZ)をカニクイザルの左右の上腕二頭筋,前脛骨筋の計4箇所に直接注入(1x1013 vg/1箇所)した.これまで終了した8,16及び24週後の筋生検でのLacZ発現をPCR法,ウエスタンブロット法及び免疫組織化学染色法を用いて解析する.また,H&E染色や酸性フォスファターゼ染色などで組織障害の程度も検討する.42週後に最終の筋組織の生検と解剖を行い,LacZ発現をPCR法,ウエスタンブロット法及び免疫組織化学染色法を用いて解析する.各時点で行った採血結果も検討する.
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