研究課題/領域番号 |
22K06065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森 政之 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60273190)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RNA結合タンパク質 / RNA代謝 / NCBP3 / ミュータントマウス / 病理変化 / 遺伝子変異 / マウス / 生体機能 |
研究開始時の研究の概要 |
①胎仔から12ヶ月齢までのNcbp3変異マウスの各臓器の病理学的回生機により、病態の病理・細胞学的基盤を明らかにする ②Ncbp3変異マウスの各臓器の免疫沈降解析により、NCBP3のアミノ末端と相互作用するタンパク質を同定する ③Ncbp3変異マウスの各臓器のトランスクリプトーム解析により、RNA代謝異常、およびNCBP3の標的RNAと生理機能を明らかにする
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研究実績の概要 |
Nuclear cap-binding protein subunit 3(Ncbp3)遺伝子に変異をもつマウスを用いて、RNA結合タンパク質であるNCBP3の生体機能の解明を進めた。 Ncbp3変異アレルヘテロ雄マウスから採取した精子と野生型雌マウスから採取した卵と受精させ、その受精卵が二細胞になった時点で偽妊娠マウスの卵管に移植して産仔を得た。その結果、生まれてきたマウスにおける野生型アレルホモ型個体と変異アレルヘテロ型個体の比率は16:20と1:1に近似していたことから、少なくとも変異アレルヘテロマウスも正常に個体発生することが確認された。一方、変異アレルヘテロ雌雄マウスを自然交配させて得た7腹からは計37匹のマウスが生まれた。平均1腹産仔数は5.3匹と野生型マウスと比較して有意に少ないことが分かった。37匹のマウスにおける野生型アレルホモ型個体とヘテロ型個体と変異アレルホモ型個体との比率は16:17:4であり、変異アレルホモ型個体の割合が有意に低かった。この結果より、変異アレルホモマウスは発生期に高頻度で死亡していることが示唆された。また、変異アレルホモ型個体のうち1匹は水頭症を発症しており、5週齢で死亡した。 6から11ヶ月齢のNcbp3変異ヘテロマウスの病理学的解析を行なった。その結果、腎臓と肝臓において血管周囲の細胞の異常増殖や好酸球の浸潤が、心臓では心筋細胞内の空胞形成や核の位置異常、皮膚では皮下脂肪の薄化が認められた。しかしながら、その重篤度には個体間、および同一個体の中でも部位によってかなりの違いがあることが判明した。 Ncbp3変異ヘテロマウスの肝臓における遺伝子転写産物の種類とその発現レベルの変化をRNA-Seq解析によって調査した。その結果、野生型マウスと比較して特徴的な違いは無いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数匹の若齢のNcbp3変異ヘテロマウスの病理学的解析を行い、データを収集できた。しかしながら、十分な検体数を調査できていない。また、変異ホモマウスは全く調査できていない。その原因として、Ncbp3変異マウスは妊娠率、および一腹出生仔数が低いなど繁殖性が極めて悪く、かつ仔の成育も悪く、親による食殺も頻発するために、実験に使用できる個体数が制限されたことがあった。そこで、生まれた仔を里親に付けることで、食殺をある程度は軽減できた。これらのマウスは順調に生育・加齢している。また、肝臓のRNA-Seq解析に遺伝子発現プロファイルの変化を明らかとした。 また、NCBP3のアミノ末端ペプチドに対する市販抗体による免疫沈降では沈降産物が得られなかった。イムノブロット解析でも当該バンドが検出されなかったことから、市販抗体に問題がある可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
Ncbp3変異マウスの病理学的解析を継続する。Ncbp3変異マウスの繁殖性が低い問題を回避するために、人工受精により十分な個体数を確保する。一部の妊娠マウスは子宮内で発生途上の胎仔マウスについて病理組織切片を作製して病理学的検査により異常が発生する正確な時期、および死因を特定する。必要に応じて電子顕微鏡観察、およびmicro-CTを用いた多断面再構成による胎仔のイメージング解析を行う。残りの妊娠マウスから生まれるマウスについては、未病期(1ヵ月齢)、病態発症開始期(3ヵ月齢)、重篤化時期(6から12ヵ月齢)の各臓器・組織より病理組織切片を作製して病態を調査する。また、CRISPR/Cas9法によりNcbp3遺伝子編集マウスを作出し、同様の解析を行う。 NCBP3のアミノ末端と相互作用するタンパク質を同定するために、NCBP3のアミノ末端に対する抗体を自作して解析する。また、HITS-CLIP法によりNCBP3のアミノ末端ペプチドに対する抗体で免疫共沈降されるRNAからRNA-Seq解析用ライブラリーを作製し、次世代シークエンサーを用いてトランスクリプトームデータを収集する。さらに、さらに免疫共沈RNAからm6A RNAメチル化修飾を認識する抗体(市販品を利用)を用いてRNA免疫沈降を行い、次世代シークエンサーによる解析(Methylated RNA immunoprecipitation-sequencing)で本Ncbp3 変異マウス、C57BL/6J-Ncbp3emノックアウトマウス、および正常対照としてのC57BL/6Jマウスの系統間の違いを検出する。
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