研究課題/領域番号 |
22K06066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
土屋 英明 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 技術専門職員 (10378440)
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研究分担者 |
中家 雅隆 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任助教 (90805459)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | カニクイザル人工繁殖 / カニクイザル体外培養胚 / 性周期人為的同期化 / エストロゲン / プロゲステロン / 子宮内膜 / 生殖工学 / 非ヒト霊長類 / 実験動物 / カニクイザル / 大規模繁殖 / 生殖生理 |
研究開始時の研究の概要 |
小規模な施設においては、多分なレシピエント候補カニクイザル母群を保持できない。受精卵を作出してもレシピエントに移植することができず、胚移植操作が個体作出のボトルネックとなっていた。そこで本研究はカニクイザルの生殖生理を制御することで、小規模母群においても必要頭数のレシピエント個体を供試できる実験系を確立し、基礎医学研究に資するカニクイザルリソースを効率的に生産・供給するシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
滋賀医科大学(本学)では、1998年よりカニクイザルの飼養を開始し、これまでに累計約2700頭のカニクイサルを飼養・維持および管理をしてきた。2000年以降、生殖・発生工学的手法を用いた室内人工繁殖により個体を作出しているが、ベトナム、インドネシア、中国、フィリピンおよびカンボジアの諸外国からの輸入個体が約85 %を占めており、医科学研究用動物としてのカニクイザルは輸入による供給を主としてきた。しかし、現在インドネシア、フィリピンからの輸入は停止しており、さらに2020年以降、中国が輸出を禁止したため、諸外国からの輸入は容易ではない状況にある。加えて、中国の輸出禁止を受け、昨今東南アジア産個体の価格が高騰し、医薬品の非臨床試験や医科学研究に支障をきたし始めるという問題が生じている。そのため、国内での研究用カニクイザルの人工繁殖による供給体制構築は喫緊の課題となっている。そこで本学では個体作出を目的とした繁殖操作を開始している。本研究はカニクイザル体外培養胚と胚移植レシピエントの性周期人為的同期化による室内繁殖効率の改善を目的に行う。レシピエント個体にエストロゲン、プロゲステロンを補充し、着床・妊娠成立の効率改善について検討を行った。さらに性器出血が認められた妊娠個体について、プロゲステロンを補充することで出産まで胎児を維持することに成功した。また腹腔鏡による排卵の確認及び、エコーによる子宮内膜厚の測定を行った。子宮内膜厚と着床・妊娠成立の成否を吟味することで、胚移植個体決定の指標となる子宮内膜厚を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初はヒト不妊治療用のエストロゲン製剤、プロゲステロン製剤を用いて検討を行い、カニクイザルの室内繁殖効率化の課題について、克服の可能性を示唆するデータが得られつつあった。しかしながら検討の最中に、使用していた上記製剤の製造が中止となった。このことから、動物用のエストロゲン製剤、プロゲステロン製剤の再検討を余儀なくされた。複数の候補の中から、これまでと同様の効果が得られる製剤を再選択し、カニクイザル胚移植レシピエント個体の性周期と体外培養胚との同期化の検討を再開している。また胚移植時にエコー診断による子宮内膜測定を行い、内膜厚と着床・妊娠の成否を検討した。その結果、胚移植個体決定の指標となる子宮内膜厚のデータが得られた。さらに、妊娠100日目前後で性器出血が認められた個体について、プロゲステロン補充を行うことで妊娠を維持し産子獲得に繋がる条件を決定した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、体外培養胚と動物用エストロゲン製剤、プロゲステロン製剤によるカニクイザル胚移植レシピエント性周期同期化の検討を進めていく。月経の観察記録から、性周期が停止している個体を選抜しエストロゲン値、プロゲステロン値、子宮内膜厚を測定する。これらの個体についてエストロゲン製剤の投与により、子宮内膜の肥厚が誘導できるのかを検討する。十分に肥厚が誘導できた個体について、プロゲステロン製剤を投与することで脱落膜化を誘導できるかを検討する。この2つの製剤投与により人為的に子宮内膜を着床に適した環境に誘導できているのかを子宮内膜生検により確認する。胚移植を実施し、着床・妊娠及び産子獲得を目指す。
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