研究課題/領域番号 |
22K06071
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
松浦 徹 関西医科大学, 医学部, 講師 (60415297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 着床 / オルガノイド / インテグリン / 年齢 / 胚発生 / 発生 / 胚 / 細胞間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮オルガノイドを用いた試験管内での着床の再現実験系であるミニ子宮着床系を用いることで、着床時に起こる細胞間相互作用を明らかにし、胚発生を進める特異点として着床現象がどのように作用しているのかを明らかにする。日本を含む先進国では出産高齢化などが生じ、少子化が問題となっており、不妊治療は少子化問題に対しての有効な対策の一つである。これまでの不妊治療では着床自然に任せているが、体外受精胚の移植後の着床率は30代前半で35%、後半で25%、40代で15%と高年齢で低く、着床率の改善が課題である。本研究により、着床のメカニズムを明らかにすることによって、着床率を改善することにつながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
1.着床効率を向上させる薬剤開発 シングルセルRNA発現解析より、細胞接着に関わるインテグリンの着床現象における重要性が示唆された。そこで京都大学iCeMsの池田幸樹助教との共同研究により、インテグリンとその活性化タンパク質Talinとの結合を向上させるペプチド薬(Iznm-2)を提供いただき、着床への影響を調べた。Iznm-2はオルガノイドを用いた人工着床系において、着床様現象の発生率を22.7%(コントロール)から、63.2%(8 μM Iznm-2)に優位に向上させた(x^2検定と残差分析)。着床には胚のトロフォブラスト細胞が働いていることから、マウスのトロフォブラスト細胞由来のTS細胞を用いた細胞接着実験を行った。TS細胞は、薬剤なしに比べて、8 μM Iznm-2存在下で1.89倍接着細胞数が増加することから、Iznm-2は細胞の接着を向上させることが明らかになった。 またIn vivoでの効果を確認するために、偽妊娠マウス子宮内への胚盤胞の移植実験を行った。着床不全患者の状況を再現するため、胚と子宮の性交後の日数を2日ずらし、子宮の準備が不十分な状況を再現する実験系を確立した(着床のウインドウのズレ)。この実験系において、これまでのところ薬剤なしでは着床率は0/24であったのに対して、8 μM Iznm-2存在下で移植を行った群では12/24と優位に上昇した(x^2検定)。 2.着床に関わるタンパク質の年齢による発現量 着床効率は年齢が上昇するにつれて減少することが知られている。そこで関西医科大学病院において、ERA検査を行なった患者の子宮内膜上皮におけるインテグリン発現量を免疫染色にて比較した。すると着床に関わることの知られるITGAVタンパク質の発現が年齢依存的に減少することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現解析により、インテグリンに着目し、その活性化剤の発見及び、着床への影響を明らかにしており、順調に研究が進んでいると考えられる。また関連特許を申請している。
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今後の研究の推進方策 |
今後ヒトTS細胞を用いて、ヒトの人工着床再現系を開発し、インテグリン活性化剤のヒトでの効果を予測する実験系を確立したい。また着床不全患者でのその他のインテグリンファミリータンパク質の発現と年齢の関係を明らかにしたい。
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