研究課題/領域番号 |
22K06077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大平 高之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90727520)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | RNA / キャップ修飾 / 出芽酵母 / 遺伝子発現 / 5' cap修飾 / 転写後修飾 / 成熟化 |
研究開始時の研究の概要 |
RNAのキャップ修飾は、RNAの細胞内における安定性や局在、mRNA前駆体のスプライシング効率、RNAウィルスとの識別、タンパク質合成の開始や効率など、遺伝子発現の様々な場面において重要な役割を果たしている。本研究課題では、応募者が見出した新規の反応機構によって形成されるRNAキャップ修飾を対象とし、種々の解析を通じてその生物学的意義や形成機構を詳細に明らかにすることに挑戦する。従って本研究課題は、遺伝子発現の基盤原理の理解に貢献するのみならず、RNAのキャップ修飾を介した新規の遺伝子発現制御機構の存在を探求するものである。
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研究実績の概要 |
RNAの5'末端に導入されるキャップ修飾は、RNAの細胞内における安定性や局在、タンパク質合成開始の目印、ウィルスRNAとの識別に関わるなど遺伝子発現の調節領域として重要な役割を担う。従って、RNAのキャップ修飾の機能を解明すること、その機能発現に関わる生合成や分解、さらにはこれらの調節機構を詳細に明らかにすることは遺伝子発現の調節機構を理解する上で重要である。 令和5年度は、新規RNAキャップ修飾を持つRNAの網羅的探索を行うため、2通りのサンプル調製方法を考案し、それぞれについて綿密な条件検討を行った。詳細な原理については現時点では未発表のため記載することが出来ないが、どちらのサンプル調製方法も新規キャップ修飾の化学構造を利用しており、一方は、Total RNA中に含まれるメチル化グアノシンキャップを持つRNAとの相対的な定量も可能な方法であるのに対して、もう一方は、新規RNAキャップ修飾のみを持つRNAを特異的に精製し、濃縮するといったより高感度な検出法である。これら2つのサンプル調製方法の実験結果を合わせることでより精度の高い新規RNAキャップ修飾の探索を行うことができると期待している。条件検討の結果、どちらのサンプル調製方法においてもTotal RNA中のポジティブコントロールとなるRNA分子を特異的に検出することに成功している。現在、新規RNAキャップ修飾を持つRNA分子を網羅的に探索するため、様々な生物種や細胞からサンプル調製を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、新規RNAキャップ修飾の網羅的探索を行い、この修飾の普遍性や特異性を明らかにすることを計画していたが、条件検討に時間を要し、やや遅れが生じている。しかしながら、サンプル調製方法をシンプルな方法で確立することに成功しているため、研究の進捗に与える影響は大きくないと考えている。以上の状況から達成度は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、様々な生物種や細胞について新規RNAキャップ修飾の網羅的探索を行い、この修飾の普遍性や特異性を明らかにし、既知のキャップ修飾との違いを明確にするとともに、この修飾がRNAの機能や遺伝子発現に与えている影響に関する知見を得ることを目指す。これと並行して、新規RNAキャップ修飾の修飾酵素による基質RNAの認識機構や反応機構についても解析を行い、網羅的探索の結果と併せることで、このキャップ修飾の細胞内における動態や調節に関する知見を得る。
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