研究課題/領域番号 |
22K06078
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹本 愛子 (田中愛子) 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (90464148)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 共生 / 微生物 / メタゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、サツマイモのゲノム解析から、病原菌であるアグロバクテリウム由来の遺伝子配列が見出され、栽培品種に広く保存されていることが明らかとなった。この遺伝子配列には、特定の微生物によって分解・資化される糖類化合物アグロシノピンの合成酵素遺伝子ACSが含まれていたことから、サツマイモはACS遺伝子を維持することによって土壌中の有用微生物との相互作用を促進し、悪条件での生長を可能にしていると推定した。そこで本研究では、アグロシノピンを利用する微生物群がサツマイモの生長に与える影響とそのメカニズムを分子レベルで明らかにすることで、貧栄養環境に強いサツマイモの生長を支える微生物群の全容解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
サツマイモゲノムには、病原性アグロバクテリウム由来のアグロシノピン合成酵素遺伝子の配列が見つかっている。糖類化合物であるアグロシノピンは、特定の 微生物によってのみ分解・資化される。このことから、サツマイモは本遺伝子を維持することによって土壌中の有用微生物との相互作用を促進し、悪条件での生長を可能にしていると推定された。本研究では、 サツマイモ野生種および栽培種のIbACSによる生合成産物を分解・資化する微生物群を明らかにすること、ま た、その微生物がサツマイモ栽培種の生長に与える影響とそのメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目指す。
IbACS遺伝子のサツマイモにおける機能を明らかにするため、CRISPR/CAS9法により、サツマイモ品種花らんまんのIbACS遺伝子変異体を作出している。変異個体 は、野生型個体と比較し、新鮮重が顕著に低下する。変異個体の生育の低下の原因を明らかにするため、野生型個体、変異個体それぞれの根組織から、細胞分画により細菌細胞層を分離し、メタゲノムDNAを得た。根組織からの細菌細胞層の分離には改良法を確立し、数グラムの組織からの細菌細胞の分離に成功した。細菌細胞から、全メタゲノムを抽出し、NextSeq1000を用いて、野生型個体と変異個体それぞれ全メタゲノムDNAのアセンブリの結果、 それぞれコンティグを得た。これらをさらに同一微生物由来と推定される配列群にグループ化し、50の野生型個体根圏由来の分別ゲノムと、21の変異個体根圏由来の分別ゲノムが得られた。これらを既知の微生物ゲノムを含めた系統樹により比較したところ、野生型の6ゲノムが新奇の系統グループを形成し、また、別のPantoea属に近縁の4ゲノムが野生型にのみ特徴的なグループとして見出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、メタゲノム解析の結果、サツマイモのACS変異個体の根圏に欠失した微生物種が明らかとなった。次年度にこれら微生物種を分離するため、各種分離培養条件の検討にすでに取り掛かっているため、次年度中にサツマイモの成長促進に直接関与する微生物種の特定は可能と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度候補となった微生物種を分離培養し、サツマイモの成長へ直接関与する微生物を特定する。
|