研究課題/領域番号 |
22K06080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北畠 真 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (10321754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | リボソーム / 品質管理 / ユビキチン |
研究開始時の研究の概要 |
リボソームの品質管理に関わる鍵となる因子に相互作用するタンパク質をすべて網羅的に解明していく予定である。 得られた候補因子については、鍵因子との相互作用の解析や、異常リボソームのユビキチン化への関与など、生化学的な解析を進めたい。リコンビナントタンパク質の調製を試みるが、良質なリコンビナントが得られた場合にはリボソームとの複合体を作成して構造解析にも挑戦し、異常リボソームが認識される仕組みを明らかにしていく予定である。
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研究実績の概要 |
機能不全リボソームがE3 ユビキチンリガーゼに認識される機構を解明するため、まず最初に細胞内で機能不全リボソームが置かれている状況を解明することを目指している。機能不全リボソームはペプチド合成の活性を喪失しているため、最初のペプチド結合が形成されず、mRNAの開始コドン付近に係留されるという仮説を考えている。この仮説の検証を目指して、リボソームプロファイリングを行うため、技術開発と材料の集積を行った。具体的にはMS2配列を含んだ25S rRNAを利用してMS2コートタンパク質による「機能不全リボソーム特異的なプルダウン」の系を改善し、従来の系よりもより高感度で純度の高いリボソーム粒子の精製が可能な系へと最適化を行った。GSTによるグルタチオンビーズを使った精製方法が従来使用されてきたが、細胞内でビオチン化されるタグ配列を使用して、ストレプトアビジンビーズによる精製方法を試したところ、より不純物のすくない、より多くのタグ付き25S rRNAが(リボソーム粒子として)沈降することが示されている。あわせて精製の手順と条件を最適化し、大量の機能不全リボソームを集めるための準備が整った状態である。 これらのツールを活かして酵母の大量培養を現在行っており、得られたサンプルは凍結して保存している。今後パイロット実験をして精製条件の再確認を行い、予定通りの結果が得られた場合には大量の精製を実行し、当初の目的であったリボソームプロファイリングを行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで非常に困難であった機能不全リボソームの精製について、大量発現方法や精製方法などを見直し改善することにより、一定の量の精製が可能であるとの目処がついた。実際にこの方法で細胞の回収もできており、今年度はこれらを使って目的の解析が進められる時たいできる。
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今後の研究の推進方策 |
目的の分子を発現する酵母の作成が順調に進んでいるが、一方でこの実験のコントロールとなるような野生型の(MS2タグつきの)リボソームなどの用意がすすんでいない。細胞内で分解を受ける「機能不全リボソーム」に比べ、分解されない野生型リボソームの精製は比較的容易であると期待されるが、実際にアッセイに必要な量を揃えるには大掛かりな培養が必要であり、進めていかなければならない。また、培養条件によっては細胞内のタンパク質合成速度に影響を与える可能性があり(たとえばグルコースの飢餓により翻訳イニシエーションの大幅な低下が起こることが知られている)、場合によっては培養条件の再調整が必要になる可能性もある。これについては得られた細胞の一部をショ糖密度勾配超遠心で分画してポリソームの状況を調べるなどして、一定の品質が得られている細胞のみを選別して使用するなどの工夫が必要であると考えている。
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