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タンパク質コード領域を非コード機能化させる分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06081
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分43010:分子生物学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

井木 太一郎  大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (20774011)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードRNA / 遺伝子制御 / 精巣 / ショウジョウバエ / 非コードRNA / piRNA / siRNA / miRNA / シャペロン
研究開始時の研究の概要

本研究は、タンパク質コード領域から小分子非コードRNAの「piRNA」が産生される現象、すなわち、「タンパク質コード領域の非コード化」について調べる。関与が示唆されるAubやCyp40といった因子を足掛かりに非コード化に関与する他の因子を同定することに加え、非コード化したpiRNAがサイレンシングにより制御する標的を特定することにより、ゲノムの領域概念を覆す非コード化機構の解明と、精子形成における非コード化の意義の理解を目指す。

研究実績の概要

本研究は(1)非コード化現象の背景にある分子機構の解明、(2)非コード化で産生されるCDS-piRNAの標的の特定、(3)非コード化現象の意義を示すことを目的に掲げている。
(1)これまでにAgo2-Dcr2経路が非コード化に必要だとわかってきていた。精巣に発現する内在性のsiRNAや一部のmiRNAがAgo2と複合体を形成して相補的な配列を持つ標的RNAへと誘導する。Ago2は標的RNAを切断する。ATPsynbetaは非コード化をおこす遺伝子のひとつであるが、CDS-piRNAがsiRNAに誘導されるAgo2の切断部位の下流から産生されることがわかった。さらに、Ago2に結合するmiR316の標的配列を蓄積させるmuc14A遺伝子からのCDS-piRNA産生がmiR316変異体において著減した。以上の結果はAgo2がsiRNAやmiRNAに誘導され、到達した標的が非コード化を起こすことを示唆している。
(2)非コード化にはaubとago2の両方が関与する。Ago2は非コード化の引き金となり、Aubは非コード化により生じるCDS-piRNAの受け皿となる。aubとago2の変異体の精巣のトランスクリプトーム解析をおこなった。すると、クロマチン制御やスプライシングに関わる因子をコードする遺伝子群が転写産物を異常に蓄積させることが分かった。既存のRNA分解断片データとトランスクリプトームデータを組み合わせることにより、nejireというヒストンアセチル化酵素をコードする遺伝子がCDS-piRNAの標的であることが示唆された。
(3)aubとago2の変異体の精巣は減数分裂を終えることができるが精子細胞の分化が破綻する。さらに、ヒストンをプロタミンに置換することが失敗していた。非コード化の重要性を支持する証拠が得られた。
以上を論文としてScience Advances誌に公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた実験にはうまくいかなかったことがあるものの、他の手法を上手く組み合わせることなどにより、研究の目的を順調に達成できている。成果をScience Advances誌に公表することもできた。

今後の研究の推進方策

概ね研究の目的を達成しつつあるものの、非コード化の背景にある分子機構が完全に明らかとなったわけではない。例えば、ago2-dcr2経路は正常な非コード化に必要だが、ノックアウト変異体においてCDS-piRNAが完全に消失するわけではない(多くの遺伝子において50%程度残存する)。仮説として、Ago2-Dcr2以外にも非コード化を誘導する未知の分子機構が並行しているのではないかと考えている。未知の分子機構はAgo2経路と協調的に非コード化を誘導することもあれば、単独でも非コード化を誘導できるのかもしれない。想定している未知の分子機構に関わる因子を同定するために、AubやAgo2の近接解析を進めているが、どうしてもビオチン化シグナルが不十分な結果に陥る。そこで、非コード化がmRNAを含む転写産物を基質にすることを踏まえ、精巣に発現するRNA結合因子群に着目し、逆遺伝学的な手法で非コード化への関与があるのかどうか、調べる予定だ。具体的にはそれぞれのノックアウトやノックダウンの精巣からAubの複合体を精製し、Aubに結合しているpiRNAをディープシークエンス解析する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] miRNA/siRNA-directed pathway to produce noncoding piRNAs from endogenous protein-coding regions ensures <i>Drosophila</i> spermatogenesis2023

    • 著者名/発表者名
      Iki Taichiro、Kawaguchi Shinichi、Kai Toshie
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 9 号: 29 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1126/sciadv.adh0397

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] タンパク質をコードする情報を「非コード化」させる生命現象の発見

    • URL

      https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/ja/research_results/papers/detail/1066

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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