研究課題/領域番号 |
22K06084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
那須野 亮 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90708116)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 還元酵素 / ニトロレダクターゼ / 酵母 / 翻訳後修飾 / ニトロ化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ニトロ化修飾タンパク質を還元するニトロ化タンパク質還元酵素(NRP)を、生化学的・遺伝学的手法を用いて同定する。同様に、プロテオーム解析等を駆使し、NPRの基質タンパク質を同定する。NPRやSの遺伝子変異株を用いた網羅的解析から、NPRによるSの還元の生理機能を明らかにするとともに、生化学的解析により、その詳細な分子機構も解明する。多種生物におけるNPRやSの機能についても解析する。
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研究実績の概要 |
遊離ニトロチロシン(NT)を、ニトロ化タンパク質還元酵素(NPR)のモデル基質と考え、酵母の遊離NT還元活性の検出を試みた。酵母粗酵素液と遊離NTを、種々の補酵素・補因子存在下で反応させ、LC/MS/MSによりアミノチロシン(AT)の生成を評価したところ、NADPHなどの電子供与体存在下で非酵素的に微量のATが生成したものの、酵素反応依存的なAT量増加は検出されなかった。 続いて、酵母ニトロレダクターゼ(NTred)であるHbn1を、大腸菌を用いた組換え酵素として精製し、酵素活性を測定したところ、既知の酵母NTredであるFrm2と同様に、芳香族ニトロ化合物である4-nitroquinoline N-oxide(4NQO)に対して還元活性を示した。また、Hbn1は、4-nitropyridine N-oxide(4NPO)にも還元活性を示したことから、芳香族ニトロ化合物に対するNTredによる還元反応には、quinoline骨格ではなくpyridine骨格が必須であることが示唆された。 一方、酵母NTred遺伝子(FRM2, HBN1)を欠損させた酵母変異株の表現型を解析したところ、毒性量のNOに感受性を示した。このことから、酵母NTredは酵母のNO耐性に重要であることが示された。 さらに、精製Hbn1とNOドナー、蛍光NOプローブを反応させて、蛍光強度の経時変化を評価することにより、Hbn1によるNO濃度分解活性を解析したところ、Hbn1によりNOが分解されることが示唆された。また、系内の酸素濃度を増加させるとHbn1によるNO分解活性が低下することが示された。以上のことから、酵母NTredがNOを直接還元的に分解することで、酵母のNO耐性に寄与するという新たな機構が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったNPR活性の検出やNPR分子の同定には至っていないものの、酵母NTredがNOを還元的に分解してNO耐性に寄与するという新たなNO耐性機構を示唆する結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、酵母NTredによるNO分解・NO耐性機構の詳細解明を早急に行う。具体的には、NTredによるNO分解(還元)の反応生成物同定、補因子や補酵素の要求性などの酵素特性の解析、速度論的解析、酸素による酵素反応阻害の解析を行う。また、酵母細胞内のNO濃度がNTredにより変化するかも評価する。 一方、NPRの同定に関しては、NPRの基質タンパク質を同定した後、NPR活性評価を行う方針で研究を進める。NO処理した酵母をプロテオーム解析に供し、NPRの基質タンパク質を同定し、これを用いたNPR活性評価系を構築することで、NPR分子の同定を効率的に行う。
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