研究課題/領域番号 |
22K06086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東 寅彦 九州大学, 薬学研究院, 助教 (20936687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コヒーシン / DSB修復 / ダメージチェックポイント / ツメガエル卵抽出液 / タンパク質精製 / 姉妹染色体接着 / 複製ストレス / リン酸化修飾 / DNA修復 |
研究開始時の研究の概要 |
姉妹染色体接着を担うコヒーシン複合体は染色体分配だけでなく、DNA二重鎖切断修復にも重要な役割を担う。二重鎖切断時には、新たなコヒーシンが損傷部位に呼び込まれ、損傷チェックポイントの活性化や相同組み換えの促進に機能すると考えられている。しかし、コヒーシンが具体的にどのような仕組みで二重鎖切断の修復に寄与するのかは十分に理解されていない。特に、高等真核生物におけるコヒーシンのDNA修復機能の研究はまだまだ乏しい。本研究では、ツメガエル卵抽出液を用いた試験管内系および精製タンパク質を用いた再構成系を主なモデル系とし、DNA損傷に応答したコヒーシンの機能とその制御を生化学的に解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
コヒーシンはDNA二重鎖切断(DSB)時において積極的に修復反応に関わる一方、その分子的なメカニズムは未だ明らかになっていない点が多い。本研究ではツメガエル卵抽出液を用いた試験管内実験系およびヒト培養細胞での複製停止モデル系を使って高等真核生物でのコヒーシンによるDSB修復の分子機構の解明を試みた。(1)DSB修復におけるコヒーシンの挙動を調べるために、ツメガエル卵抽出液内で染色体にDSBを導入した。制限酵素EcoRIを抽出液に加えることでDSBに依存したコヒーシンの再結合が観察されると予想したが、結果としてはコヒーシンの結合量に大きな変化は観察されなかった。コヒーシンの再結合を評価するためには、損傷前後で染色体に結合するコヒーシンを区別することが今後重要であると考えられる。(2)染色体に再結合したコヒーシンは新たに姉妹間を接着することが酵母では報告されている。接着成立が高等真核生物において起きているのかを明確にするためには接着を定量的に評価する方法が必要である。新たな接着検出系の構築のため、ヒト組換えコヒーシンの精製を目指した。HEK293細胞での一過的なタンパク質発現を試みたが正しいストイキオメトリーのタンパク質発現が観察されなかったことから、さらなる条件の検討が必要である。(3)コヒーシンのDSB応答の仕組みがヒトの細胞でも保存されているのかを調べるため、ヒトU2O S細胞の複製停止系を用いた。この実験系では、ヒト染色体上に複製ブロックを作り、DNA複製の進行を妨げることができる。複製停止に伴いコヒーシンおよびローダーの蓄積が観察されるかを免疫染色法で解析したが、さらなる蓄積は観察されなかった。一方、興味深いことにコヒーシンSmc1のリン酸化は大きく蓄積することが観察されたことから、複製停止時においてコヒーシンを介したチェックポイントの活性化が起きていると考えられる。
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