研究課題/領域番号 |
22K06092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
角井 康貢 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (40853164)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 減数分裂 / 染色体構造 / Hi-C / クロマチン / 卵子劣化 / 染色体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、高齢不妊の背後に潜む分子基盤の探究を目的とする。高齢不妊では、加齢に伴う卵子劣化が染色体(クロマチン)構造のレベルで起きることが一因と考えられている。そこで配偶子(卵子)形成のための減数分裂における染色体構造に着目して、クロマチンレベルでの染色体構造を決定する。そして加齢に伴うクロマチン構造の変化を視覚化することにより、卵子劣化のクロマチンレベルでの証拠を掴む。
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研究実績の概要 |
母体の加齢により、卵子の品質が低下することで、高齢不妊の一因となる。「卵子劣化の分子実体」に対する生物学的な知見を得ることを目指し、本研究提案を遂行した。 目的1)二価染色体の分子レベルでの構造基盤の解明のために、昨年度にHi-C解析により決定した、減数分裂におけるゲノムワイドなクロマチン相互作用について、バイオインフォマティクス解析を推し進めた。減数分裂は、DNA複製に続き、両親由来の相同染色体が物理的に繋がる相同組換えが起きた後、染色体分配へと進行していく。本年度のバイオインフォマティクス解析により、これらの各段階におけるクロマチン相互作用をゲノムワイドに、かつDNA配列の高解像度で決定することができた。目的2)キアズマを形成するための相同組換えの制御メカニズムについても目的1と同様にバイオインフォマティクス解析を遂行し、組換えに関わるタンパク質の欠損がもたらすクロマチン三次元構造の異常を明らかにした。さらに染色体構造の3DモデルをHi-Cデータより構築し、バーチャルリアリティにより可視化した。野生型における染色体構造の3Dモデルの比較により、組換えタンパク質の欠損とクロマチン構造の繋がりが見えてきた。 目的3)高齢母体から得られた卵子の劣化指標の探索については、実験プロトコルの単純化と実験手技の習熟により、高齢雌マウスから卵母細胞を効率的に回収することができるようになった。ここで得られた卵母細胞の一細胞を利用したHi-C解析を現在行なっている。 本研究は、従来の光学顕微鏡を凌駕する解像度でクロマチン同士の相互作用を捉えることで、減数分裂の進行に伴う染色体三次元構造の変動と、それに関わるタンパク質の機能を明らかにしていく。これにより、減数分裂において大きく変動する染色体三次元構造を制御する分子基盤が解き明かされる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1)二価染色体の分子レベルでの構造基盤の解明、および目的2)キアズマを形成するための相同組換えの制御メカニズムについては、バイオインフォマティクス解析により、減数分裂の各段階において特有のクロマチン相互作用を決定することに成功している。分裂酵母を用いた染色体構造解析は、概ね想定通りに進んでいる。 目的3)高齢母体から得られた卵子の劣化指標の探索については、昨年度よりもエフォートを増やしたことで、研究に進展が見られた。現在は、若齢および高齢母体から回収した卵母細胞の一細胞Hi-C解析を行なっている。Hi-C解析により、クロマチン相互作用のビッグデータが得られ次第、分裂酵母の染色体構造解析と同様に、バイオインフォマティクス解析へと進む予定である。 このように本研究は、現在のところ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
目的1、2において、分裂酵母を利用した染色体構造解析をさらに発展させるために、相同組換えに関わるタンパク質の更なる変異体を用いて、これまでと同様にHi-C解析を行なっていく。体細胞分裂において染色体構造をコントロールするSMC複合体の変異体などをターゲットにすることで、減数分裂においてクロマチン構造を制御する分子基盤を包括的に明らかにしていく予定である。 マウス卵母細胞を利用した染色体構造解析は、Hi-C解析のビッグデータを早めに取得することを目指す。若齢および高齢雌マウスから卵母細胞を回収し、Hi-C解析というパイプラインを確立したので、今後はサンプル数を増やしてき、次世代シークエンサーを利用したシークエンス解析およびバイオインフォマティクス解析へと進みたい。
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