研究課題/領域番号 |
22K06096
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡邊 康紀 山形大学, 理学部, 講師 (30772636)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | リン脂質 / オルガネラ間リン脂質輸送 / クライオ電子顕微鏡 / 立体構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
生体膜の成分であるリン脂質の合成は,複数のオルガネラ(細胞小器官)にまたがって行われる。出芽酵母においてリン脂質ホスファチジルエタノールアミンの合成を担う代謝酵素Psd2はエンドソームに局在している。前駆体リン脂質ホスファチジルセリンはリン脂質輸送タンパク質Sfh4により小胞体膜からエンドソーム膜のPsd2のもとへ輸送されることが予想されるが,その機構は不明である。本研究では,オルガネラ間でのSfh4とPsd2によるリン脂質輸送機構解明をめざす。本研究の遂行により,細胞内リン脂質の複雑な交通網を整備する輸送システムの全貌解明に多大な貢献ができる。
|
研究実績の概要 |
出芽酵母のPsd2はエンドソームにおいてホスファチジルエタノールアミン(PE)の合成を担うが、前駆体リン脂質であるホスファチジルセリン(PS)は小胞体から輸送される必要がある。本研究では、小胞体-エンドソーム間でのPS輸送を担う可能性のあるSfh4に着目し、そのPS輸送メカニズムを解明することを目的としている。昨年度は、リポソームを用いたリン脂質輸送アッセイにより、出芽酵母由来Sfh4および5種のホモログタンパク質(Sec14, Sfh1-3, Sfh5)のうち、唯一Sfh4だけがPS輸送活性を持つことを明らかにした。Psd2にはPEの生合成を担う触媒ドメインの他に、N末端側に2つのC2ドメインと呼ばれる領域が存在する。Psd2は2つのC2ドメインを介して、Sfh4と相互作用することが示されていることから、C2ドメインが、Sfh4によるPS輸送の方向の決定をしている可能性がある。そこでPsd2のC2ドメインをリポソームに固定してSfh4のPS輸送活性を調べたところPS輸送活性が向上したことから、C2ドメインがSfh4のPS輸送方向を決定していることが示唆された。また、Sfh4と結合する因子としてPbi1が知られており、Sfh4-Pbi1複合体のPS輸送活性を検証したところ、Sfh4単体よりもPS輸送活性が上昇した。Sfh4-Pbi1複合体によるPS輸送機構を解明するため、Sfh4-Pbi1複合体のクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析を行ったところ、3.3 Å分解能の密度マップを得ることに成功した。得られた密度マップからSfh4-Pbi1複合体はSfh4二分子とPbi1二分子が会合した扁平な形状の四量体を形成することが明らかになった。Sfh4はPbi1と扁平な形状の複合体を形成することで、PS輸送の際に平面な膜との親和性を向上させている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度では、リポソームを用いた実験によってSfh4によるPS輸送方向はPsd2によって決定していることを示唆するデータを得ることができた。また、Sfh4とその結合因子であるPbi1との複合体についてクライオ電子顕微鏡法を用いた構造解析を進めており、まもなく立体構造決定できる段階である。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
Sfh4が実際に小胞体-エンドソーム間においてPS輸送を担っているのか明らかにするために、蛍光タンパク質を融合したSfh4を発現させた出芽酵母を用いた局在の解析を行う。また、Sfh4-Pbi1複合体の立体構造を決定し、PS輸送メカニズムを明らかにする。
|