研究課題/領域番号 |
22K06098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
滝沢 由政 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (00434291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | クロマチン / ヌクレオソーム / クライオ電顕 / セントロメア / クライオ電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、真核生物の染色体分配に必要不可欠なクロマチン領域であるセントロメアクロマチンの役割を明らかにすることを目的としている。ヒト細胞より精製したネイティブなセントロメアクロマチンの立体構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析およびクライオ電子線トモグラフィーによるクロマチン構造解析を使い解明する。本研究により得られるネイティブなセントロメアクロマチンの基本構造および高次構造により、染色体分配においてセントロメアに特異的に集積するキネトコア複合体のクロマチン認識機構が明らになるとともに、染色体分配異常による疾患の分子機序の解明が期待される。
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研究実績の概要 |
真核生物のゲノムDNAは、クロマチン構造を形成することにより、核内に収納されている。クロマチンの中でもセントロメア領域は、分裂期の染色体に現れるくびれた部位で、キネトコア複合体と呼ばれるタンパク質群が集積する。そこへ微小管が結合するとことで、染色体の娘細胞への均等分配が起こる。セントロメアの機能が不完全であると、染色体の不安定化や不均等分配を引き起こすことが知られている。しかし、細胞内のセントロメアクロマチンの立体構造は明らかとなっておらず、特にキネトコア複合体の集積に重要と考えられる高次セントロメアクロマチン構造は未知のままである。本研究は、真核生物の染色体分配に必要不可欠なクロマチン領域であるセントロメアクロマチンの役割を明らかにすることを目的としている。ヒト細胞より精製したネイティブなセントロメアクロマチンの立体構造をクライオ電顕単粒子解析およびクライオ電子線トモグラフィーによるクロマチン構造解析を行うことで目的を達成する。 2023年度は、、ネイティブなクロマチンのクライオ電顕構造解析のワークフローを確立するため、細胞核内に最も豊富に存在するヒストンH3.1を含む通常型ヌクレオソームの解析を中心に進めた。細胞より抽出したクロマチンを断片化し、ヒストンH3.1を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いて、クロマチン断片の免疫沈降を行い、クライオ電顕単粒子解析を行った結果、ヒストンH3.1を含むヌクレオソームの構造を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、、細胞から抽出したネイティブなクロマチンのクライオ電顕構造解析のワークフローを確立するため、細胞核内に最も豊富に存在するヒストンH3.1を含む通常型ヌクレオソームの解析を中心に進めた。クロマチンをHeLa細胞より抽出し、昨年度から検討を行ってきたクロマチンの断片化を行った。その後、ヒストンH3.1を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いて、クロマチン断片の免疫沈降を行った。クライオ電顕グリッド作製条件の検討を行い、データコレクションに適したグリッドの作製を行った。ハイエンドのクライオ電顕TFS KriosG4により、数千枚のデータコレクションを行った後に、単粒子解析により立体構造計算を行った。解析の結果、ヒストンH3.1を含むネイティブなヌクレオソームの構造を4オングストロームを上回る分解能で得ることに成功した。得られた構造から、ヒストンH3.1に特異的なアミノ酸側鎖を同定することができ、得られた構造がヒストンH3.1を含むヌクレオソームであることが確認できた。以上より、本研究は当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ネイティブな標的クロマチンのクライオ電顕単粒子解析による立体構造解析のワークフローが確立できたため、今後は、クロマチン断片の作製条件を変えることにより、ポリヌクレオソームを調製し、高次クロマチン構造をクライオ電子線トモグラフィーにより解析を行う。また、CENP-Aを含むヌクレオソームの抽出方法を検討する。CENP-Aは、クロマチンを抽出したした際に不溶性画分に行きやすいため、クロマチンの断片化条件、可溶化条件を検討し、ヒストンH3.1を含むヌクレオソームの構造解析と同様にモノクローナル抗体にて、免疫沈降法を行うことで試料を調製する計画である。CENP-Aヌクレオソームは、細胞周期に依存せずにクロマチンに局在していることが分かっているため、まずは細胞周期を同調せずに、HeLa細胞よりCENP-Aヌクレオソームを特異的に精製することを検討する。加えて、抽出したCENP-Aを含むクロマチンは、必要に応じて密度勾配遠心法により高次クロマチンを分画した後に、CENP-A抗体を用いて免疫沈降法を行うことで、高次セントロメアクロマチンのクライオ電顕解析を行う。
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