研究課題/領域番号 |
22K06100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梅名 泰史 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 准教授 (10468267)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 金属阻害 / 光合成蛋白質 / 結晶構造解析 / 光合成 / 重金属阻害 / 電子伝達 / 異常分散効果 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成の光エネルギー変換及び水分解反応を担う光化学系IIタンパク質における重金属イオンによる阻害機構を結晶構造解析により明らかにすることで、毒性金属に耐性を持つ光合成植物を提案し、植物による吸着を利用した安価な土壌改良法を提言する。
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研究実績の概要 |
本年度はターゲットとする光化学系II蛋白質(PSII)に光エネルギーを供給する、アンテナ蛋白質フィコシアニン(PC)に水銀イオンと鉛イオンの結合構造を決定した。その結果、3つの色素分子フィコシアノビリンの内の1つが、水銀イオンを取替囲むように大きく構造変化することが初めて明らかになり、それに伴って蛋白質構造も大きく変化することが明らかになった。 一方、鉛イオンはサブユニット蛋白質境界の表面に結合するだけで蛋白質構造に大きな影響を及ぼさず、また色素分子への影響も少ないことがわかった。このことは、過去の研究報告から、水銀イオンによってPCの吸収スペクトルの最大値が減少するが、一定以下には下がらない事が知られており、1分子のフィコシアノビリンが崩れるが他の2つには影響を受けないことから、阻害機能と構造との相関が明らかになった。また、鉛イオンは水銀イオンほど吸収スペクトルに影響を及ぼさない要因も、色素分子への結合しないことから明らかになった。しかし、PCは有害金属のスカベンジャーとして報告されていることから、水銀イオンは色素分子によって、鉛イオンは蛋白質-蛋白質界面に取り込むことで金属を取り込む機構を結晶構造から明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光合成蛋白質のフィコシアニンに重金属の水銀イオンと鉛イオンが結合した構造を初めて解明し、これまで生化学的な実験と分光学的な実験により、阻害機構が推察されていた現象を初めて、立体構造に基づいて議論することができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、光化学系II蛋白質(PSII)の結晶試料の調製に難航しためて、PSIIと生体内で結合しているアンテナ蛋白質の重金属イオンによる結晶構造を解明したが、次年度は本来の目的のPSIIを対象に重金属イオンの結晶構造解析を目指した研究をすすめる。そして、複数の重金属イオン結合構造から、PSIIの電子伝達機構を阻害する重金属イオンの阻害様式を立体構造に基づいて解明することをめざす。
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