研究課題/領域番号 |
22K06102
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
櫻木 崇晴 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (10867906)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | スクランブラーゼ / ナノディスク / 単粒子解析 / XKR8 / Xkr8-Basigin複合体 / リン脂質スクランブリング / Xkr8 |
研究開始時の研究の概要 |
アポトーシス細胞では、通常細胞膜の内層に存在するリン脂質、フォスファチジルセリンが細胞表面に露出され食細胞による貪食を促す目印として作用する。この際、リン脂質を区別無く双方向に移層するタンパク質(スクランブラーゼ)、Xkr8-Basigin(BSG)複合体が働く。最近、Xkr8-BSG複合体の定常状態の構造解析から、リン脂質頭部の通過する“ポア領域”が見出されたが、活性化状態の構造は未知であり、Xkr8-BSG複合体がどのようにリン脂質をスクランブルするのか、未だ不明な点が多い。本研究では、活性化型のXkr8-BSG複合体の立体構造を決定し、リン脂質スクランブルの仕組みを解明する。
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研究実績の概要 |
真核生物の細胞膜を構成するリン脂質はその内側と外側で非対称的に分布している。アポトーシス細胞や活性化リンパ球などではこの非対称性が崩壊し、通常細胞膜の内側のみに存在するホスファチジルセリンが細胞表面に露出する。露出されたホスファチジルセリンはシグナル分子として働く。この過程には、リン脂質を区別無く双方向に輸送する膜タンパク質、スクランブラーゼが働く。XKR8はアポトーシス時にはカスパーゼによってC末端が切断されることにより活性化し、また、ある種の癌細胞ではC末端がリン酸化されることで活性化するスクランブラーゼである。これまでに界面活性剤で可溶化した定常状態のXKR8の立体構造を決定したが、C末端の存在する細胞内領域の分解能は低く、この領域の情報は乏しかった。前年度、XKR8をナノディスクと呼ばれる小さな脂質二重膜に埋め込み、低温電子顕微鏡を用いた単粒子解析により構造を決定した。ナノディスク中の構造ではXKR8のC末端領域の分解能が向上しており、この領域の正確なモデルを組むことができた。当該年度には、このモデルに基づいて変異体解析を行なった。構造解析と変異体解析の結果から、C末端領域がXKR8の細胞質側の溝にプラグのようにはまり込み、定常状態のXKR8の構造を安定化させていることが分かった。また、カスパーゼやキナーゼによるC末端の修飾によりC末端がXKR8本体から解離することが活性型構造への変化を誘導することが示唆された。これらの成果は、カスパーゼによる切断及びリン酸化という2つのシグナルによるXKR8の活性制御を理解する上で、重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性化型XKR8の構造解析は達成されていないものの、定常状態のXKR8のナノディスク中の構造解析に成功した。これにより、C末端領域の正確なモデルを構築でき、C末端領域によるXKR8の活性制御について重要な知見が得られた。したがって、上記区分を選択する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに定常状態のXKR8をナノディスクに再構成することに成功したが、まだ活性化状態のXKR8を安定化させる条件は見つかっていない。この課題を解決するため、活性化型XKR8を認識するナノボディを開発し、活性化型XKR8を安定化する。安定化されたサンプルを用いて単粒子解析を行い、活性化型XKR8の構造を決定する。定常状態と活性化状態の構造を比較し、XKR8の活性化機構、およびリン脂質スクランブルの仕組みを明らかにする。
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