研究課題/領域番号 |
22K06115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
海野 英昭 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (10452872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | AMPD / 結晶構造解析 / メバロン酸経路 |
研究開始時の研究の概要 |
ホスホトランスアンヒドロメバロン酸デカルボキシラー ゼ (anhydromevalonate phosphate decarboxylase: AMPD) は、近年発見されたATP消費量の少ない「省エネルギー型」新奇アーキア型メバロン酸経路の鍵酵素の役割を担っている。本研究では AMPD の結晶構造解析研究を行い、その反応機構の詳細を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、Candidatus Promineofilum breve 由来ホスホトランスアンヒドロメバロン酸デカルボキシラーゼ(PbrAMPD)の結晶構造解析による反応機構の解明を目的とし、本年度は各種大腸菌を用いたPbrAMPDの発現条件および精製条件の最適化検討、およびその結晶化条件検討を実施した。 組換え型PbrAMPDの発現条件として種々条件検討の結果、大腸菌BL21(DE3)を用い、また培地はLBが最も適している事、発現誘導には20度が最も適している事を見出した。この発現誘導条件で得られたPbrAMPDの精製条件の種々検討を行ない、最適な溶液条件(リン酸バッファー(pH7.4)+0.3M NaCl + 5%Glycerol)を見出した。その溶液条件を用いた精製の結果、最終精製収量が結晶化を行うに十分量(10mg以上)を得る精製条件の確立に成功した。またその確立した精製条件により、以前の精製条件では見られたPbrAMPDの凝集が生じる事なく十分に安定した状態を維持していることを確認した。得られた精製PbrAMPDを用いて種々結晶化条件を検討した。その結果、この安定なPbrAMPDを用いることで今まで得られなかった板状のタンパク質結晶を複数の条件で得る事に成功した。前年度の発現・精製条件検討以前に得られていた結晶は針状結晶のみであった一方、本年度の発現・精製条件検討以降では初めて複数条件で板状結晶が得られた事から、この発現・精製条件検討による安定化PbrAMPDの取得が、結晶化の改善に有利に働いたのであろうと考えている。 現在は得られた結晶化条件の最適化を進め、2023年度中に結晶構造を決定することを目標として実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸菌を用いたPbrAMPDの発現および精製条件の最適化条件を検討し、以前より安定性の大きく向上したPbrAMPDの取得に成功した。結晶化および構造決定を行う上で、タンパク質の安定性は非常に重要な問題であり、この問題を2022年度に克服した意義は大きく、今後近い将来の構造決定および反応機構解明に向けて、大きく前進したと考えている。実際に、この安定性の向上したPbrAMPDを用いて結晶化を行った結果、これまでには得られなかった良好な結晶が得られている。以上の事から、本年度の進捗状況は概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で確立したPbrAMPDの発現条件および精製条件により得られたPbrAMPDを用いて、結晶化条件の最適化、放射光測定、および構造決定へと推進する予定である。それにより決定した構造に加えて、本酵素の反応速度論的解析を行い、それらの知見を統合することでAMPDの反応機構を解明する。
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