研究課題/領域番号 |
22K06117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
椎村 祐樹 久留米大学, 付置研究所, 助教 (40551297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | グレリンOアシルトランスフェラーゼ / グレリン / アシルトランスフェラーゼ / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
グレリンO-アシルトランスフェラーゼ (GOAT) は、摂食亢進ホルモンであるグレリンに脂肪酸を修飾する酵素である。近年、GOAT阻害剤が、血糖値の上昇や体重増加を抑制することなどから、糖尿病の新たな治療薬になる可能性が示唆されている。本研究は、クライオ電子顕微鏡法によってGOATの立体構造を明らかにして、GOATがどのようにしてグレリンに脂肪酸を修飾するのか、視覚的に理解することを目的としている。また本研究によってGOATの立体構造を決定することができれば、その構造情報をもとにして、糖尿病や摂食代謝異常に対する新たな治療薬開発に寄与することが期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度は、GOAT発現系の確立を試みた。発現系候補としてまず、これまでグレリン受容体の発現などで活用してきたBac-to-Bac system (invitorogen) を選択した。ヒトGOAT遺伝子を組込んだバキュロウイルスを作製して、昆虫細胞であるSf9細胞でGOATを発現させた。その後、GOATに付与したGFPを指標にしてCell analyzerによって発現量を確認したが、発現量は著しく低かった。そこで感染量や感染時間を変えながら発現を試みたが、発現量を増加させることができなかった。またわずかに発現したGOATをHisタグ精製してゲル濾過クロマトグラフィーに供したが、GOATのピークを確認することができなかった。この理由として、Bac-to-Bac systemがGOATの発現に適していない可能性が考えられた。 そこで、発現系を浮遊系哺乳類細胞であるExpi293 system (invitrogen) に変更した。細胞には、テトラサイクリン系抗生剤の添加によって発現が誘導される様に遺伝子改変されているExpi293F inducible細胞を用いた。Transfectionの条件を検討ののち、50 mLの小スケールでGOATを発現させるとGFPの蛍光が確認できた。そこでこの発現タンパク質をNi精製して、蛍光クロマトグラフィーに供した。しかしながらGOATのピークを確認することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
22年8月まで国際研究加速 (A) のプロジェクトで渡米していたため、研究開始が遅れたこと、またExpi293 systemがCovid-19の影響で納期が3ヶ月かかったために発現実験に取り組めない期間が長かった。一方で、Expi293F inducible細胞を用いることで発現を確認することができた。しかしながら精製するに至っておらず、GOATを精製するためには精製バッファーの組成を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、発現量のさらなる増加と精製条件の検討が必要である。発現量の増加では、コンストラクトを検討する。Alpha Fold2を用いた構造予測では、N末端の8アミノ酸程度は特定構造をとっておらずこれを除去することでGOATを構造的に安定化できる可能性がある。しかしAlpha Fold2を用いた予測や、構造既知のファミリータンパク質構造からそれ以上の改変は難しいと考えられるため、次にバッファー組成を検討する。特に還元剤の有無はタンパク質の安定性に関わる可能性が高いので優先順位を高く設定する。そのほか、細胞を可溶化する際の界面活性剤もタンパク質の安定性に大きく寄与するため、現在使用しているDDMのほかにMNGやGDNといったMBOATファミリーの構造解析で利用されている界面活性剤を中心にスクリーニングする。 精製物が得られれば、クライオ電子顕微鏡 (Cryo-EM) 用のグリッドに精製タンパク質を塗布して、スクリーニング用電子顕微鏡Glaciosでタンパク質粒子の確認を行う。粒子が良好でなかった場合は、精製時の界面活性剤の種類やタンパク質濃度を検討する。良好な粒子が得られた場合には、ハイエンド電子顕微鏡Kriosによって構造決定を試みる。
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