研究課題/領域番号 |
22K06147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
杉山 康憲 香川大学, 農学部, 准教授 (10632599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 2型糖尿病 / 糖毒性 / インスリン / 転写制御 / プロテインキナーゼ / 転写因子複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病における慢性的な高血糖の持続は膵臓beta細胞の機能低下を引き起こし、糖尿病を深刻化させることが問題となっている。これまでに申請者は、糖毒性状態においてインスリン発現を抑制するシグナル因子としてCPG16を見出した。加えて、CPG16はインスリン転写因子JDP2をリン酸化してインスリン発現を抑制することを示した。最近の研究により、JDP2は相互作用する転写因子によってインスリン発現のON/OFFを制御するスイッチとして機能する可能性を見出した。そこで本研究では、JDP2転写因子複合体を介したインスリン発現制御機構を解明し、2型糖尿病が深刻化する分子メカニズムを明らかとする。
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研究実績の概要 |
2型糖尿病における慢性的な高血糖の持続は糖毒性(膵臓beta細胞におけるインスリン分泌障害、インスリン発現抑制、アポトーシス)を引き起こし、糖尿病合併症を誘発することが問題となっている。特に、日本人の2型糖尿病患者においてはインスリン分泌障害およびインスリン発現抑制を引き起こす割合が多いことが知られているが、その分子メカニズムには不明な点が多く残されている。我々は、糖毒性状態の膵臓beta細胞において、セリン/スレオニンキナーゼであるCandidate plasticity gene 16 (CPG16)が新規インスリン転写因子であるJun dimerization protein 2 (JDP2)をリン酸化することによってインスリン発現が負に制御されることを見出した。これまでにJDP2は他の転写因子と複合体を形成して、遺伝子発現の促進と抑制の両方に関与することが知られている。そこで、内在性のインスリン転写因子が発現しているラット膵臓beta細胞由来INS-1細胞と、内在性のインスリン転写因子が発現していないヒト腎臓由来HEK293T細胞に、JDP2と他のインスリン転写因子の相互作用を解析した。その結果、JDP2はINS-1細胞でのみインスリンプロモーター活性を促進し、HEK293T細胞では促進しなかった。加えて、JDP2と他のインスリン転写因子の2者の共発現ではインスリンプロモーター活性は変化しなかった。そのため、JDP2が3者以上の転写因子複合体によりインスリン発現を制御していると考え、他のインスリン転写因子2者との共発現を行った結果、JDP2はPDX-1, MafA, Beta2, ATF2のうちの2者以上と相互作用してインスリン発現を促進することが明らかとなった。これらの結果は、JDP2は他のインスリン転写因子と3者以上の複合体を形成してインスリン発現を協調的に制御していることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2型糖尿病の糖毒性におけるインスリン発現のONとOFFを制御する転写因子複合体を解析することが本研究の目的である。我々が新規に見出したインスリン転写因子であるJDP2がPDX-1, MafA, Beta2, ATF2と相互作用することを明らかとした。加えて、JDP2はこれらのインスリン転写因子と3者以上と相互作用してインスリン転写を制御することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究と同様にJDP2を介したインスリン発現抑制機構を解析していく。まず、JDP2とインスリン転写因子の3者以上による複合体がどのインスリン転写因子と形成されるのかを解析する。また、JDP2と他のインスリン転写因子の複合体形成に対してJDP2のCPG16によるリン酸化の影響を調べる。さらに、糖毒性状態におけるJDP2と他のインスリン転写因子の相互作用およびインスリン発現に及ぼす影響を解析していく予定である。
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