研究課題/領域番号 |
22K06156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小野 弥子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 副参事研究員 (20392376)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | カルパイン / 骨格筋 / サルコメア / 筋ジストロフィー / タンパク質分解 / 機能制御 |
研究開始時の研究の概要 |
カルパイン3(以下、CAPN3)は、骨格筋特異的に発現する細胞内システインプロテアーゼである。遺伝的なCAPN3のプロテアーゼ活性欠損は肢帯型筋ジストロフィーR1/2A(LGMDR1)の発症原因となるため、生理機能の解明が急務である。 CAPN3が機能する場として、骨格筋が運動やエネルギー代謝における様々なストレスを克服する分子メカニズムが注目されているが、時空間的な挙動との関係は不明である。本研究ではCAPN3の発現後の局在、構造変化、相互作用タンパク質の変動について総合的に理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、骨格筋細胞特異的に発現するプロテアーゼ、カルパイン3(以下、CAPN3)が時空間的に正しく機能する過程において、局在や構造変化、相互作用タンパク質の役割を明らかにすることを目的としている。2023度は、CAPN3と結合するサルコメアタンパク質Ttnについて、その遺伝子変異マウス(mdm)の骨格筋表現型の再検討と、新たなタンパク質相互作用およびCAPN3基質候補タンパク質について検討した。 Ttnはサルコメアの構造タンパク質であり、収縮時の張力源として寄与するだけでなく、様々な筋機能関連タンパク質と相互作用し、それらが協調するためのプラットフォームとしての役割を担う。mdmマウスでは、CAPN3結合部位の1つN2A領域に欠損があり、CAPN3の活性制御に重要な相互作用の異常が示唆されている。また、N2A近傍において、複数のタンパク質分解を受ける可能性を見出しており、実際に筋組織内でも起きるのか、その意義について、検討を進めた。この解析においては、カルパイン以外のプロテアーゼ、特にカスパーゼの関与が強く示唆される結果を得た。 Ttnの分解について、機能制御という観点からの検討はほぼ皆無であるため、研究課題との関係から興味深い現象であると判断した。生理的に起こり得ることなのかについて、切断部位の配列保存性など、研究対象の範囲を広げるべく準備を進めた。これを受けて、TtnとCAPN3の相互作用について、活性抑制ではなく活性化したCAPN3のreservoirとして機能する可能性も考慮するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に、他のグループよるCAPN3と結合部位N2A領域Ttnとの複合体に関する構造研究が進展し、相互作用の意義について再考察する必要が生じた。これらの知見を参考に、mdm変異を持つTtnとCAPN3との相互作用について再検討するためのマウス系統や抗体及びコンストラクト作製に着手したが、まだ完成には至っていない。抗体については、希望したもの半数が得られた状態である。 また、活性抑制ではなく活性化したCAPN3のreservoirとして機能する可能性を検討するため、CAPN3がどの程度機能しているのか、その指標となる表現型を探索しているが難航している。 これら技術的な理由から進捗状況に遅れが生じており、まだ実際の解析結果を得るための準備段階という状況である。
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今後の研究の推進方策 |
従来、表現型が見られないとされてきたheteroマウス(Capn3+/-)であるが、新たに表現型を判断できる基準がないのか、骨格筋外の組織も視野に入れて検討する。その上で、Ttnのmdm変異が憎悪化因子として働くかどうか、二重変異マウスを作出して表現型を解析する。並行して、組み換えタンパク質を用いて二分子間の相互作用について、より定量的な評価系を確立する。また、2023年度までに得られた抗体について、用途に適した特異性を持つのかを判別し、その結果に応じた解析に活用する。研究開始時点では、CAPN3と共局在する他のタンパク質から、局在に必要な領域を抽出することを目標としていたが、生理機能という観点から優先順位を見直す。CAPN3に関するPLA(Proximity Ligation Assay)法を、Ttnその他の相互作用分子との組み合わせで行う系については検討作業が完了していないため、引き続いての課題である。
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