研究課題/領域番号 |
22K06157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター (2023) 茨城大学 (2022) |
研究代表者 |
矢野 直峰 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 構造生物学推進室, テニュアトラック研究員 (60724721)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パルス中性子 / タンパク質 / 中性子結晶構造解析 / 積分範囲自動決定 / 連続波長中性子 / データ処理法の開発 / 積分範囲の自動決定 |
研究開始時の研究の概要 |
大強度陽子加速器施設(J-PARC)に設置されている生命物質構造解析装置(iBIX)は、連続波長中性子を利用し、タンパク質単結晶中の水素原子やプロトン(H+)の位置を中性子結晶構造解析で決定することが出来る。回折斑点の強度と形状は結晶方位と中性子の散乱角によって異なる。現状ではデータ処理ソフトを用いて強度積分を行う時には、各結晶方位において、X軸、Y軸、波長軸方向の積分範囲を34台の検出器毎に目視で確認し、指定しなければならない。積分範囲の決定がデータ処理の律速であり、iBIX利用者の負担になっている。そこで、本研究では検出器毎に積分範囲を自動的に決定する方法を開発する。
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研究実績の概要 |
茨城県東海村の大強度陽子加速器施設に設置されている生命物質構造解析装置(iBIX)は、連続波長パルス中性子を利用し、タンパク質単結晶中の水素原子やプロトンの位置を中性子結晶構造解析で決定することが出来る。iBIXで測定された回折斑点の形状と強度は結晶方位と検出器の設置された位置により異なる。現状ではデータ処理ソフトSTARGazerを用いて強度積分を行う時には、各結晶方位において、X軸、Y軸、波長軸方向の積分範囲を34台の検出器毎に目視で確認し、指定しなければならない。ラウエ群がmmmの結晶では、30結晶方位 × 34検出器 = 1020個程度の回折データで積分範囲を決定する必要がある。 積分範囲の決定がデータ処理の律速であり、iBIX利用者の負担になっている。そこで、データ処理の手間とかける時間を減らすために、本研究では検出器毎に積分範囲を自動的に決定する方法の開発を行なった。昨年度は積分範囲を自動的に決定する手順を確立することができた。今年度は手順確立に用いたタンパク質とは異なるタンパク質の回折データを用いて、手順の有用性を検証した。異なるタンパク質の回折データでも積分範囲の自動決定が可能であることを確認できた。iBIX専用のデータ処理ソフトへの実装は業者に依頼して行う予定である。実装に向けて、業者とやりとりし、仕様書の作成を進めている。 また、積分範囲を自動的に決定する手順を開発するために用いたタンパク質で、中性子結晶構造解析から分かった反応機構を論文にまとめ、オープンアクセスで学術誌に掲載することができた。プレスリリースを行い、研究成果の周知を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に確立した手順を手順確立に用いたタンパク質とは異なるタンパク質の回折データに適用したところ、手順の有用性を確認することができた。iBIX専用のデータ処理ソフトSTARGazerへの実装に向けて、ソフトウェア会社とやりとりし、仕様書の作成まで進めることができた。 また、積分範囲を自動的に決定する手順を開発するために用いたタンパク質で、中性子結晶構造解析から分かった反応機構を論文にまとめ、オープンアクセスで学術誌に掲載することができた。プレスリリースを行い、研究成果の周知を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
iBIX専用のデータ処理ソフトSTARGazerへの実装に向けて、仕様書の作成を進めていく。業者に発注し、納品後に動作確認を行っていく。その後、ユーザーが実装した機能を使えるようにマニュアルを整備し、配布していく。 また、積分範囲の自動決定法の開発に用いたタンパク質で、中性子結晶構造解析から分かった反応機構を論文にまとめ、学術誌に掲載する予定である。
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