研究課題/領域番号 |
22K06168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 大智 京都大学, 工学研究科, 助教 (40746616)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ユビキチン / 非定型鎖 / 構造揺らぎ / 凝集 / 線維 / 物性 / ストレス顆粒 |
研究開始時の研究の概要 |
シグナルタンパク質であるユビキチン鎖は、ストレスで細胞内に作られるストレス顆粒の形成と分散を制御する。ユビキチン鎖は分岐鎖などの多くの形状が存在するが、どの形状がどのようにストレス顆粒形成に関わるか不明である。本研究では、多様な形状のユビキチン鎖の物性を調べ、ユビキチン鎖の形状とストレス顆粒に関与する物性との関係を解明する。本研究が達成された暁には、ストレス顆粒の形成機構の理解が進むとともに、ストレス顆粒の制御不全が引き起こす神経変性疾患などの疾患の発症機構の理解にもつながる。
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研究実績の概要 |
本研究では、ストレス顆粒形成においてユビキチン鎖の役割を詳細に解明するため、細胞内で存在する多様な形態のユビキチン鎖、特に研究が進んでいない非定型のユビキチン鎖を試験管内で作製し、ストレス顆粒形成に関わる物性を有するのか明らかにすることを目的としている。本年度では、昨年度に続き、作製が困難なLys48結合型の環状ユビキチン鎖(ジユビキチン)を高純度かつ大量に試料調製し、環状ユビキチン鎖の動的な構造特性を詳細に調べた。昨年度において、粗視化分子動力学シミュレーションによる環状ジユビキチンの動的な構造プロファイルが得られたものの、膨大で複雑なデータの解析方法が確立できていなかった。そこで今年度、100マイクロ秒間における環状ジユビキチンの二つのユビキチンユニット同士の距離データを、過去の結晶構造解析の結果を基に、オープン状態とクローズ状態のバイナリデータとして変換し、自己相関関数解析することにより、開閉運動の周期性を解析した。その結果、環化により開閉運動が顕著に抑制されることが定量的に示すことができ、さらに、周期の減少程度は核磁気共鳴法による緩和分散実験結果とよく相関していることがわかった。本結果は、Protein Science誌において学術論文として発表した(Sorada, et al. Protein Sci, 2023, 32(10), e4768)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に遂行し、遊離非定型ユビキチン鎖の物性解析の基盤を構築できている。物理化学的な手法に加え、生化学的および細胞生物学的手法により研究を進めることで細胞内現象に関係する物性を明らかにすることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで確立した環状ユビキチン鎖の調製方法ならびに分岐鎖の調製方法を駆使し、結合様式や長さに応じた構造学的ならびに液滴形成能といった物理的性質を明らかにする。
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