研究課題/領域番号 |
22K06169
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
井出 徹 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (60231148)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | イオンチャネル / 単一チャネル電流計測 / バイオセンサー / 人工膜 / ハイスループット |
研究開始時の研究の概要 |
高効率な単一チャネル電流計測装置を開発する。単一チャネル電流計測法は、精度が高く時間分解能に優れたイオンチャネルの活性測定法であり、イオンチャネルの薬理学、生物物理学的解析には欠かせない手段である。しかし、その測定効率は極めて低く、計測の効率化が強く望まれている。そこで、人工膜法を大きく改良し、簡便かつ高効率な計測法の開発を行ってきた。これまでに親水性ゲルあるいは固体上に固定したチャネル蛋白を直接人工膜に組み込む方法を開発し、測定効率を従来法の数十倍にすることに成功した。本研究では、この方法と微小流路技術を組み合わせることで多チャンネル化・自動化を図り、更なる簡便・高効率な計測装置を開発する。
|
研究実績の概要 |
(1)汎用性の向上:新しい測定法によって、あらゆるタイプのチャネル蛋白に対応できるように、ゲルビーズの素材・形状、表面修飾法、界面活性剤の種類、脂質溶液の組成等を検討した。ゲル濃度および(ゲル-蛋白)スペーサー長を変えた種々のビーズを作製した結果、人工膜の安定性がゲル濃度に依存すること、蛋白の人工膜への組込にはゲル表面と蛋白の間に至適な距離が存在することが分かった。また、後述のμ-TASとの融合を考慮してゲル濃度を検討し、人工膜の形成及び微小流路上への固定の何れにも適した濃度を見出した。 (2)チャネル蛋白の固定法の改良:上記のゲルビーズ上へのチャネル蛋白の固定法について、人工膜へのチャネル蛋白の組込み効率を指標に検討した。既存の手法では、チャネル蛋白を直接ゲルビーズに固定していたが、脂質膜と共に固定することによって組込効率が著しく改善されることを見出した。 (3)高効率化・微小流路(μ-TAS)との融合:電流計測装置と微小流路の融合を図った。シリコーンおよびガラス基板上に1チャンネル測定用に加工した微小流路を作製し、薬剤流速、濃度を微小領域で正確にコントロールできるように、基板の表面処理、流路の形状等を検討した。以下の2通り(ⅰ) (ⅱ)の方法での電流計測に成功した。水平方向流路にゲルビーズを流し込み、垂直下向きに吸引固定する。次に水平方向に脂質溶液を流し、続いて(ⅰ)水平方向に水溶液を流す、あるいは(ⅱ)上方から水溶液を注入し、ゲル-水溶液界面に人工膜を形成する。また、これらを拡張して2本の微小電極構造を作製し、2チャンネルの同時計測にも成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
申請計画通り、(ⅰ)装置の汎用性を高めるため、装置の素材・修飾方法・形状の検討を網羅的に行う。それに加えて、各蛋白に固有の計測条件も決定する必要があるので、可能な限り多種類の蛋白を使用して計測実験を行い、至適な計測条件を探る。R4年度までに計測効率を上げる蛋白固定法を見出したが、固定法についても網羅的な条件検討を行う。(ⅱ)電流計測装置と微小流路装置との融合のため、微細加工技術を用いた流路作製を実施する。ここでも、流路の素材・形状等を試行錯誤しながら決定する必要がある。表面を改変した(疎水修飾)ガラス素材、テフロン等樹脂の使用を予定している。
|