研究課題/領域番号 |
22K06173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平野 美奈子 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (80585167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 光遺伝学 / イオンチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、光照射によりcAMPを産生する天然の光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)が細胞機能の光操作のツールとして注目されているが、その特性が正確に評価されていないため、PACの選択が限定され活用が進んでいない。本研究では、cAMP依存的に開閉するイオンチャネル(CNGチャネル)を利用して、PACが産生するcAMPの絶対量変化を高時間分解能で捉えて特性の調整機構を解明し、その部位を改変して細胞機能の光操作に適した新規PAC改変体群を創製する。本研究によりPACの細胞機能の光操作ツールとしての汎用性を高め、様々な生命現象の機序の理解や疾患の原因の解明へと繋げたい。
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研究実績の概要 |
本研究では、cAMP依存的に開閉するイオンチャネル(CNGチャネル)を利用して、光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)の特性の調整機構を解明し、細胞機能の光操作に適した新規PAC改変体群を創製することを目的としている。本年度はCNGチャネルの単離と、電気生理学的手法の一つである人工膜法でのCNGチャネルの活性の測定を行った。 cAMP感受性が異なる2種類のCNGチャネル、KcsAチャネルとRP-CNGチャネルのキメラチャネル(KcsA-CNGチャネル)とSthKチャネル、を大腸菌に発現させ、膜画分から精製をした。界面活性剤であるデシルマルトシド(DM)を用いることで、膜画分に発現したKcsA-CNGチャネルの大部分は可溶化することができ、アフィニティカラムを用いて単離・精製することができた。一方、SthKチャネルはDMでの膜からの可溶化が困難であった。そこで、5種類の界面活性剤(オクチルグルコシド、コール酸ナトリウム、CHAPS、MEGA-G)による可溶化を検討したところ、コール酸ナトリウムで膜画分に存在するチャネルを可溶化することができた。また、コール酸ナトリウムでの可溶化に適した濃度を検討した結果、臨界ミセル濃度の5倍の濃度で可溶化が起こり、20倍で膜画分のSthKチャネルの約半分以上を可溶化することができた。 精製した2つのCNGチャネルの活性(チャネル電流)を人工膜法で捉えた。KcsA-CNGチャネルとSthKチャネルのコンダクタンスはそれぞれ54 pSと134 pSであり、100 mVでの開確率は0.026と0.075であった。さらにKcsA-CNGチャネルでは、1 μM cAMPの添加により開確率が上昇する様子が確認できた。よって、青色光で活性化されたPAC存在下でKcsA-CNGチャネルのチャネル電流の開確率の変化を測定することにより、PACから産生されたcAMP量の変化を捉えることができると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、計画通りにCNGチャネルを精製し、人工膜法でcAMP濃度依存的な活性の変化を捉えることができ、PACによる光依存的なcAMPの産生を捉える系を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度人工膜法で活性を捉えることができた2種類のCNGチャネルを用いて、PACが光依存的に産生するcAMP量の変化を捉える。PAC存在下で光照射後のCNGチャネルのチャネル電流の変化、つまりcAMP量の変化を高時間分解能で捉え、PACのcAMP産生速度や光感受性などの特性を測定する。様々な種類のPACの特性を明らかにし、特性に関与する部位を同定することで、光応答能や光感受性を改変した変異体を創製する。これにより、PACのオプトジェネティクスツールとしてのバリエーションを広げる。
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