研究課題/領域番号 |
22K06187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 雅紀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (10625437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ノンコーディングRNA / クロマチン / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / ゲノム 高次構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトでは約28,000種のノンコーディングRNA (ncRNA), 長鎖ncRNA (lncRNA)が存在するが、ほとんどの機能は明らかになっていない。機能が明らかなlncRNAではlncRNAがクロマチンに結合し、ポリコーム複合体をリクルートすることで高次クロマチン構造を形成する例が知られている。本研究ではRNAとクロマチンの相互作用をゲノムワイドに網羅的に検出する系であるRADICL-seq法を応用し、抗ヒストン修飾抗体などによる免疫沈降法と組み合わせることにより染色体高次構造に重要な役割をもつlncRNAを探索する。
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研究実績の概要 |
ヒトでは約28,000種のノンコーディングRNA (ncRNA), 長鎖ncRNA (lncRNA)が存在するが、ほとんどの機能は明らかになっていない。機能が明らかなlncRNAではlncRNAがクロマチンに結合し、ポリコーム複合体をリクルートすることで高次クロマチン構造を形成する例が知られている。本研究ではRNAとクロマチンの相互作用をゲノムワイドに網羅的に検出する系であるRADICL-seq法を応用し、抗ヒストン修飾抗体などによる免疫沈降法と組み合わせる手法(RADICL-IP法)を開発し、染色体高次構造に重要な役割をもつlncRNAを探索する。本年度はマウスES細胞を用いてH3K27me3-RADICL-IPライブラリーを作成し、次世代シーケンサーHiseqを用いて取得したデータの解析を行なった。H3K27me3 およびEZH2のChIP-seqのデータとの比較によりオリジナルのRADICL-seqと比べてH3K27me3, EZH2のピーク領域でのRNA-DNA相互作用が濃縮されることからRADICL-IP法の抗体での濃縮が成功していることが明らかとなった。H3K27me3-RADICL-IPはオリジナルRADICL-seqと比べてRNAがそのRNAを発現する遺伝子より遠くの場所でのクロマチンとの相互作用(long-range interaction)が見られることから、H3K27me3はRNAが遠くのクロマチンとの相互作用に寄与することが明らかとなった。よってH3K27me3を介してクロマチンと相互作用するRNAは染色体高次構造に重要な役割をもつ可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗H3K27me3抗体を用いたRADICL-seq の応用系(RADICL-IP法)のプロトコールはほぼ完成し解析を進めているため
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続きRADICL-seq 法の応用系の開発として特定の抗体による濃縮を組み合わせ、特定の領域を高感度で検出する系(RADICL-IP)の開発を行った。マウスES細胞を用いてH3K27me3-RADICL-IPライブラリーを作成しHiseqを用いてデータを取得した。データ解析を行い、ライブラリーの特性の情報が明らかとなりつつある。Inputライブラリー(オリジナルRADICL-seq)との比較によりどのようなRNA, 特にlncRNAがH3K27me3-RADICL-IPライブラリーで濃縮されているかを探索しH3K27me3修飾、ポリコームとRNAのクロマチン結合との関わりについて解析を引き続き行う。また抗H3K27me3抗体以外の免疫沈降後の収量の低い抗体に関しては引き続き収量をあげるべく検討を行う。
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