研究課題/領域番号 |
22K06191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鬼丸 洸 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (30787065)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | がんゲノム / 非コード配列 / 体細胞変異 / 深層学習 / エピジェノミクス |
研究開始時の研究の概要 |
個人ゲノム情報を基にした、がんの精密医療の実現が期待されている。現在、研究が進んでいるのはゲノム配列のうち、およそ1.5%に当たるタンパクコーディング配列の体細胞変異であり、非コード領域の変異のがん化への貢献についてはあまり理解されていない。多くのがんドライバー変異がコーディング領域にあるのは事実だが、個々人のがんの特徴を理解するためには、残りの98%のゲノム情報を理解する必要がある。本研究では、深層学習を用いた非コードゲノム配列の解析技術を発展させることにより、がん化における新たなドライバー変異を探索するアルゴリズムの開発を行う。
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研究実績の概要 |
がんはゲノムの変異を要因とする病気であり、変異が生物学的機能に与える影響を理解することが、がんの治療に重要である。本研究では、現在理解の進んでいない、がんゲノムの非コード領域のゲノム配列変異の生物学的意義を解明するために、深層学習を用いた非コードゲノム配列の解析により、がん化における新規ドライバー変異を探索するアルゴリズムの開発を行うことを目的とした。 本研究では、初期段階として、独自開発したゲノム配列を読み込む専用の畳み込みニューラルネットワーク(FRSS)を応用して、がんゲノムの非コード領域の体細胞変異が、エピジェノミックシグナルに及ぼす影響を予測する方法を検討した。がんゲノムとしては、TCGAの1072の乳がんゲノムについて、small nucleotide variants(SNVs)の情報を利用した。まず、テスト段階として、深層学習モデルをマウスの複数の正常組織、細胞株におけるCTCFのChIP-seqシグナルを用いて訓練した。がん細胞におけるSNVsの情報をゲノム配列に変換し、訓練したモデルを用いて、体細胞変異が入った癌ゲノムとコントロールとして体細胞変異が入っていないレファレンスゲノムに対して、CTCF結合領域の予測を行い、予測結果を比較した。 結果として、現在の手法から、体細胞変異に起因した、650箇所のCTCF結合領域の獲得と682箇所の欠失を予測することが出来た。GO解析により、これらの推定CTCF結合変動領域の近傍には、細胞間接着やコンタクト阻害、細胞密度検出など、細胞間相互作用に関わる遺伝子が多いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究機器の整備に予想より時間がかかり、深層学習モデルを構築する環境が整わなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、SNVsに起因するゲノム座標のズレの正確な補正方法の検討や、現在の手法のパイプライン化に加え、エピジェノミック因子の種類の拡大、がん腫の拡大により、より包括的な非コード配列変異におけるエピジェノミックシグナルの変動を予測することを目指したい。また、これらの予測されたシグナルの変動が、実際に起こりうるのか、関連遺伝子の転写制御に影響があるのかを、実験的に検証する方法を検討していきたい。
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