研究課題/領域番号 |
22K06194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
寺薗 英之 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 教授 (30398143)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん細胞 / 非増殖性細胞 / 増殖性細胞 / 休眠細胞 / dormant cells / イオン応答性ゲル / 三次元培養 / heterogeneity / 遺伝的多様性 / がん耐性 / 腫瘍 / 選別技術 |
研究開始時の研究の概要 |
Dormant cellsはその存在が昔から知られている一方で、現在でも単離・精製が非常に困難な細胞である。理由としてどの細胞が休眠状態なのか増殖性が高い細胞なのか見た目で簡単に判別できないことが挙げられる。私はこれまでにイオン応答性ゲルを用いて細胞を三次元的に封入・培養し、特徴的な細胞を選別・回収する独自の技術を開発してきた。そこで、独自技術により休眠細胞を選択・精製し、高増殖性の細胞と遺伝的に遺伝子発現がどのように異なるか網羅的に比較し、休眠細胞において高発現している遺伝子をターゲットに休眠がん細胞に効果的な治療戦略の構築、さらには休眠がん細胞をターゲットにした抗がん薬の探索を行う。
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研究実績の概要 |
がん治療において、がん細胞が獲得する抗がん薬に対する耐性獲得は治療を困難にする重要な因子である。我々は、がん耐性化のメカニズムとしてがん組織中の細胞毎の遺伝的多様性(heterogeneity)が大きく関わっている事に着目し研究を行っている。本申請では、がん細胞でありながらも自身の増殖能力が少ない癌組織中の休眠細胞(dormant cells)が癌の耐性化に寄与していると仮定の下に、その遺伝的背景、特にメッセンジャーRNA (mRNA)を網羅的に検索し、その上でがん細胞の休眠状態を決定する遺伝子、あるいは遺伝群を同定し、dormant cellsをターゲットにした遺伝子治療を確立することを目的とする。 昨年度開発した実績として、がん細胞の中で遺伝的多様性が高いとされている神経膠芽腫由来細胞株T98Gをアルギン酸ゲルに封入し三次元培養し、増殖性の細胞と非増殖性の細胞の分離に成功した。これらの遺伝子発現を比較するため、RNA-seqを行ったところ、非増殖性の細胞では増殖性の細胞に対して特徴的な遺伝子群が多く発現していることを明らかにできた。 今年度は、増殖性細胞と非増殖性細胞との比較として、増殖性の細胞において有意に発現している遺伝子群を捉えることで、比較検討を行った。細胞膜に局在する遺伝子、細胞核に局在する遺伝子を現在着目し、増殖に関与する遺伝子について洗い出しを行っている。 また、今年度、セルソーティングを行わない増殖性細胞と非増殖性の細胞を分離する技術の原理検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回RNA-seqにより、非増殖性細胞、増殖性細胞がどのような遺伝子発現をしているか明らかにでき、それぞれが大きな違いを持つことがわかり、新しい医薬品開発の糸口が見えてきたため概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
非増殖細胞は細胞株の中でもかなり少数であり、これらの遺伝子を解析するには多大な精製時間が必要だった。 昨年度、原理検討として非増殖性細胞を大量に精製できる技術の可能性を見いだした。これらの技術を持って、大量精製し、遺伝子解析を再度行い、非増殖性、増殖性細胞がどのような性質を持つのか明らかにする。
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