研究課題/領域番号 |
22K06195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堀之内 貴明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60610988)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 実験自動化 / バイオDX / 分子進化工学 / ロボットアーム / OT-2 / 機械学習 / DIY / ラボオートメーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、データ駆動型・AI駆動型科学のためのキーテクノロジーであるラボオートメーションを多くの研究者によって利用可能とするために、簡易型ロボットやDIYを駆使して安価な実験自動化システムを構築する。このシステムを用いたAI駆動型研究の実証例として、タンパク質機能改変を、人間の手と頭ではなくラボオートメーションとAIによって実施する。構築したシステムの設計図面、ソースコードなどの情報をwebで広く公開することにより、ラボオートメーションの普及、さらにはバイオDXによるライフサイエンス研究の加速に対してボトムアップアプローチにより貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、安価な実験室自動化システムの構築によるラボオートメーションの普及と研究開発の加速への貢献を目的とし、そのPoCとしてロボットAI駆動のタンパク質機能改変を行う。具体的にはSaito et al., 2018 (doi.org/10.1021/acssynbio.8b00155)をベースとし、蛍光タンパク質GFPの蛍光を黄色へと変化させるような機能改変を行う。研究を以下の3つの小課題「① 変異導入とセレクションによるタンパク質機能改変系の構築」、「② DIYロボティクスによるタンパク質機能改変実験の自動化」、「③ DIYロボティクスとAIによる自律的タンパク質機能改変」に分け、順次執り行っている。
本年度は小課題①の実験系の構築が完了した。さらに小課題②に向け、自動化に適した操作への実験系の改変にも成功した。具体的には変異体ライブラリの構築手法としてIn-Fusionクローニングを導入することで反応ステップを削減できた。また蛍光タンパク質のスペクトル強度比の評価に関し、蛍光測定に用いるフィルターの組み合わせを詳細に検討することにより、大腸菌からタンパク質を抽出せずに評価できる系を構築できたSaito et al., 2018にて公開されている変異導入用プライマー配列を用いて変異体ライブラリの構築や評価実験を行い、改変後の実験プロトコルを用いてタンパク質変異体の作製が可能であることを確認した。 小課題②の自動化システムの実装に関して、搬送に用いるロボットアームの選定と調達を行い、マイクロプレートを把持するための治具を製作し、搬送精度の評価系の構築と評価試験を行った(論文準備中)。また、半自動分注機や周辺機器を外部制御により連携させるためのIoT通信システムや駆動ユニットの試作を行い、単体での動作検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
小課題②は次年度に実施予定であったが、小課題①を予想よりも完了させることができたために前倒しで進めることができている。
ロボットアーム選定に際してその位置繰返し精度を実際の実験に使用するサンプルや治具を用いて検証する必要があることが新たに判明した。そこで精度を評価するプラットフォームの構築と評価試験を行った。この結果は、ロボットアームをバイオ実験に組み込む場合に満たすべきスペックの指標として選定の参考となることから、ケーススタディとして国際専門誌への投稿準備を進めている。
以上のように、計画よりも前倒しで小課題を遂行し、当初予想していなかった成果も得られていることから、当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き小課題②を行う。分注機によるタンパク実験プロトコルの実装、搬送ロボットによる実験装置間のサンプル授受動作の実装、統括システムによる機器連携の実装を進める。また、試作IoT通信システムや駆動ユニットの改良を行い、システムの安定性のさらなる向上を図る。順調であれば計画を前倒しして小課題③のデータ取得を開始する。
前年度の成果について国内学会や国際専門誌での公表を進める。
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