研究課題/領域番号 |
22K06204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
淺川 東彦 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (70399533)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 核膜 / 核膜孔 / クロマチン / 染色体 / 分裂酵母 / 細胞核 |
研究開始時の研究の概要 |
真核細胞の染色体は、核膜に包まれた細胞核に収納されている。核内では染色体が特異な構造をとりながら機能しており、核膜はそのための基盤構造となっていると考えられているが、その実態は不明である。一方、核膜上にある核膜孔複合体は核の内外の分子を輸送する通り道としての働きがあるが、染色体と相互作用する因子として機能する可能性が出てきた。そこで本研究では、核膜孔複合体を構成するタンパク質を詳細に調べ、転写・複製・組み換えなど染色体が関わる生命現象との具体的な関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
真核細胞の染色体は核膜によって細胞質と分けられている。核内で必要な分子は核膜上にある核膜孔複合体を通じて細胞質から核内に輸送される。応募者は核膜孔複合体タンパク質が核-細胞質間の分子輸送装置として働くのに加え、染色体の機能にも何らかの関連を持つことも明らかにしているが詳細なメカニズムはまだ解明されていなかった。本研究は、核膜孔複合体と染色体の相互作用をイメージング、分子遺伝学、生化学の手法を用いて解析し、核膜孔複合体を構成するタンパク質と染色体の関係を明らかにすることを目的としている。2022年度の実績は次の通りである: (1)核膜孔タンパク質を介したタンパク質修飾の減数分裂における意義の解明:減数分裂は精子や卵子を生み出す特殊な核分裂の様式である。分裂酵母では核膜孔タンパク質Nup132の欠損により減数分裂での核タンパク質の異常な漏出と核分裂の異常が起こる。核タンパク質の漏出は、タンパク質修飾(SUMO化)を除去するタンパク質Ulp1がNup132欠損によりNPCからの解離することと相関しており、Ulp1を人為的にNPCにつなぎとめるとNup132を欠く変異株での核タンパク質の漏出はなくなり減数分裂は正常になった。質量分析法を用いて、SUMO化のターゲットタンパク質としてDNAトポイソメラーゼ2(Top2)を同定した。減数分裂時のセントロメアへの結合親和性は、SUMO化型Top2では増加し、低SUMO化型Top2-12KR変異体では低下した。これらの結果は、NPCによって制御されるTop2タンパク質のSUMO化の調節が減数分裂の進行に深く関与することを示唆している。 (2)核膜タンパク質Ish1とLes1の相互作用の解明:ストレス応答性の核膜タンパク質Ish1、Les1が核膜内腔で相互作用し、その相互作用はLes1のC末端領域に依存していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の構想時に想定していた核膜孔複合体タンパク質のうちNup132が、SUMO化というタンパク質修飾の調節を介して、クロマチンタンパク質であるトポイソメラーゼの減数分裂における機能を調節していることを示唆する結果が得られたことは、本研究の目的である核膜孔複合体タンパク質とクロマチンの具体的関係性を示唆するものであり、その意義は大きい。核膜タンパク質Ish1、Les1の詳細な機能は明らかではないが、核膜そのものの構造・機能・意義を考察するうえで基盤的な知見を得たものと判断している。 これらのことから本研究課題は当初計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
解析の進んでいない他の核膜孔複合体タンパク質について、遺伝子破壊株や変異導入株を 用いた解析を進め、核膜孔複合体タンパク質がどのようにクロマチンに作用して、細胞核および細胞の機能の発現や維持に関与するのかを明らかにする。
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