研究課題/領域番号 |
22K06219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
稲葉 弘哲 三重大学, 医学系研究科, 講師 (80791334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 光遺伝学 / RhoA / カルシウムシグナル |
研究開始時の研究の概要 |
RhoおよびRasファミリーの低分子量Gタンパク質と細胞内カルシウムシグナルは協調的に細胞骨格や細胞増殖・細胞分化などを制御している。我々は最近、光遺伝学的手法によってRhoAが細胞内カルシウムシグナルを活性化することを明らかにした。しかし、その制御機構や、空間的制御については未解明な部分が多く残っている。本研究では、光遺伝学の長所である高い特異性と高い時空間分解能によってRhoAの活性を操作し、細胞内カルシウムの挙動や下流候補分子の活性の変化を観察し、その時空間的な制御機構を明らかにする。また、光遺伝学の応用により、RhoAによって細胞内カルシウム濃度が制御される分子機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
RhoおよびRasファミリーの低分子量Gタンパク質と細胞内カルシウムシグナルは協調的に細胞骨格や細胞増殖・細胞分化などを制御している。最近、我々は光遺伝学的手法によってRhoAが細胞内カルシウムシグナルを活性化することを示したが、その詳細な分子機序や、空間的制御について不明な点が多く残されていた。本研究では、光遺伝学の長所である高い特異性と時空間分解能によってRhoAの活性を操作し、細胞内カルシウムの挙動や下流分子の変化を観察し、その時空間的な制御機構を明らかにすることを目的とした。 本年度は、RhoAがPLCεを活性化する制御機構を明らかとするため、その結合部位の決定を目指した。光照射によってクラスター化をするCRY2clustを持ち、相互作用をライブイメージングで検出できる系を立ち上げた。CRY2clustに恒常活性型のRhoAおよびEGFPを融合したタンパク質と、PLCεの断片をmCherryと融合したタンパク質を、HEK293T細胞に同時に遺伝子導入し、光照射時にRhoA-EGFP-CRY2clustと共にクラスター化をする断片を探索した。しかし、明確にクラスター化する断片はなかった。 また、最近、上皮細胞において細胞ー細胞間結合領域において細胞内Ca2+濃度の一過性の上昇がRhoAを活性化するという報告があった。そこで、これが上皮細胞以外においても普遍的にみられる現象であるかをRPE-1細胞を用いて検証することとした。この目的のため、Ca2+特異的な光遺伝学ツールであるhBACCS2およびDmBACCS2のTet-On RPE-1細胞株を樹立した。これらの細胞株は、Doxocyclineによる誘導発現時に青色光の照射によって細胞内Ca2+濃度を上昇させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相互作用を検出するための系は立ち上げられたものの、研究目的である相互作用断片を見出すことができなかった。また、共通機器である共焦点レーザー顕微鏡が故障したことにより、局所的な光刺激実験に支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
相互作用断片の探索については、断片の切り方を変えるなどして、引き続き探索を続けるとともに、免疫沈降など、従来の生化学的手法も併用して検討する。 hBACCSやDmBACCSのTet-On細胞にRhoAバイオセンサーを遺伝子導入し、青色光照射による細胞内Ca2+濃度上昇時にRhoAの活性に変化があるかを観察する。 また、本年度検討できなかった、MDCK細胞やHEK293T細胞におけるRhoA-Ca2+経路の分子機序について候補因子であるTRPCチャネルのsiRNAスクリーニングを実施する。 局所的なRhoAの活性化による細胞内Ca2+濃度の空間的分布の変化を解析するため、細胞膜局在型のCa2+バイオセンサーを作製する。
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