研究課題/領域番号 |
22K06237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樽本 雄介 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (70551381)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヒト多能性幹細胞 / 遺伝子制御ネットワーク / CRISPR / 遺伝子発現制御 / 未分化性 / 多能性幹細胞 / 遺伝子発現 / CRISPRスクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト多能性幹細胞の未分化性(多能性)を制御する分子基盤は不明な部分が多く、この細胞を利用する基礎研究や臨床応用の発展において支障となっている。本研究では、未分化性の維持に重要な転写調節因子であるPRDM14と、独自のスクリーニングによって新たに同定した転写調節補因子の機能解析を中心におこない、これら転写調節因子がどのようにヒト多能性幹細胞の未分化性を制御しているかその分子機構を明らかにすることを目指す。本研究から得られる知見は、均一な性質をもつヒト多能性幹細胞の培養や安定な着床前胚を模倣するヒト多能性幹細胞の樹立など、この細胞の有用性をより高めることへとつながることが期待される。
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研究実績の概要 |
ヒト多能性幹細胞の未分化性の確立や維持、どの細胞系譜へと分化するかの決定などには、転写因子・転写制御補因子が重要な役割を担っていることがよく知られている。個別の因子の機能はこれまでによく調べられているが、それらがどのような制御関係をもつことで細胞の性質の決定に寄与しているかは不明な点が多い。本研究では、転写因子を中心として構築される遺伝子制御ネットワークの構造を明らかにするため、まずヒトiPS細胞株においてそれら転写制御因子をCRISPRでノックアウトし、単一細胞レベルでの遺伝子発現解析をおこなった(perturb-seq)。この際、ノックアウト後の細胞を経時的に回収することで、遺伝子ノックアウトによって細胞全体の遺伝子発現の受ける影響がどのように時間とともに伝播するかを解析し、因子間の制御の因果関係を明らかにすることを目指した。このような経時的な遺伝子発現データを扱うために新たな解析理論(RENGEと命名)を構築し、ヒトiPS細胞の未分化性の維持に関わる遺伝子制御ネットワークの構造を推定することに成功した。因子間の物理的相互作用をまとめたデータベースやクロマチン結合情報のデータベースと照合すると、今回推定した制御ネットワーク内には既知の制御関係がきちんと含まれており、制御ネットワーク構造の推定が正しいことを意味している。また、今回推定された制御ネットワークの中にはこれまで知られていなかった制御関係も含まれており、そのうちの1つは免疫沈降実験やクロマチン結合解析によって実験的に確認することができた。以上から、今回の実験的・理論的解析手法を用いて新たな制御関係を解明できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未分化性を維持する培養環境化でヒトiPS細胞の遺伝子制御ネットワークの構造を推定することで、プライム型ヒト多能性幹細胞における未分化性の制御に関わる因子の機能的関係を明らかにすることができた。ナイーブ型との違いについては現在検討中であり、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現在用いているプライム型ヒトiPS細胞株をナイーブ型に変換したのちに、同様のperturb-seqを実施してナイーブ型ヒト多能性幹細胞における遺伝子制御ネットワークを推定する。プライム型とナイーブ型のそれぞれの制御ネットワークの構造を比較し、両者の細胞状態の違いがどういった遺伝子発現制御の違いに起因するのかを解析する。また、今回推定した遺伝子制御ネットワークから示唆された新たな制御関係を実験的に検証し、その分子機構を解明する。
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