研究課題/領域番号 |
22K06241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西脇 清二 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (30342827)
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研究分担者 |
木村 健二 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (40644505)
金 憲誠 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (70469899)
柴田 幸政 関西学院大学, 生命環境学部, 講師 (80314053)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | neuropeptide / FoF1-ATP synthase / 細胞移動 / FLP-10 / DTC移動 / A-Team / ATP濃度 / 神経ペプチド / 器官形成 / ATP合成酵素 / 線虫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的を達成するために以下の研究を実施する。1.DTC細胞表面にFoF1-ATP synthaseが発現しているのかを解析する。2.FoF1-ATP synthaseを介して体腔中のATP量は制御されているのかを解析する。3.FoF1-ATP synthase複合体として機能しているのかを解析する。4.ATPが細胞内から分泌されている可能性はあるのかを検討する。5.FLP-10CはNetrinガイドに関与するのかを解析する。6.FLP-10Cの機能はDTCの細胞骨格や基底膜制御に関係するのかを解析する。7.flp-10変異体の遺伝的サプレッサーの分離と解析を行う。
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研究実績の概要 |
1.FoF1-ATP synthaseのgammaサブユニット、deltaサブユニット、epsilonサブユニットおよびOSCPサブユニットVenus fusionを作成した。いずれのサブユニットも細胞膜での発現を確認した。2.体壁筋で発現するmyo-3プロモーター下でGPIアンカー型A-Teamを発現させた。DTC表面とは異なり、筋肉の表面ではflp-10, mig-23変異体ともに野生型とFRET値に差は見られなかった。この結果から、細胞外ATP量の増加はDTC表面に特異的である可能性が考えられる。3. DTC特異的RNAiを行うために、DTCのみでrde-4::gfpを発現する株(mig-24p::rde-4::gfp)を作成したが、flp-10; rde-4二重変異体を作成するとDTC移動異常が抑制されることが分かった。これは予想外であり、この実験を進めることは一旦断念した。今後対応を検討する。4.FLP-10CはUNC-6/Netrinガイドに関与している可能性が考えられる。そこでflp-10; unc-6、flp-10; unc-5およびflp-10; unc-40二重変異体(UNC-40はUNC-5の共受容体)を作成した。flp-10変異体のDTC移動異常はいずれの二重変異体でも増強された。この結果から、flp-10によるDTC移動制御機構はUNC-6/Netrinガイドとは独立であることが分かった。5.分離できたサプレッサー変異体の中で、表現型の強いもの2株(sup1, sup2)を選んで遺伝学的解析、SNP mapping、次世代シーケンス解析を進めた。diacylglycerol kinaseの一つをコードするdgk-4がsup1の原因遺伝子であることを示唆する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FoF1-ATP合成酵素はミトコンドリアでATP合成を行う酵素であることが知られているが、これが細胞膜にも存在することは培養細胞系でのみ報告されていた。今回、alphaおよびbetaサブユニットに加えてgamma、delta、epsilonおよびOSCPサブユニットのDTC細胞膜での発現が確認できた。 flp-10の下流はDTC移動制御に関する何らかのシグナル経路の存在を予想していたが、UNC-6/Netrin経路は否定された。今年度、sup1の原因遺伝子候補としてdgk-4が同定できたことは大変興味深い。dgk-4の発現や関連するシグナル経路の解明が次年度の重要な目標となる。 概要で記載したその他の研究の進捗状況とも合わせて、本研究は順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.dgk-4::gfpを作成して、発現する組織や細胞を解明する。また、発生過程での発現時期も解析する。2. diacylglycerol kinaseはdiacylglycerol (DAG)をリン酸化しphosphaticdic acid (PA)に変換する酵素であるが、dgk-4遺伝子の機能についてはこれまで報告は無い。しかしながら、神経系で機能するdgk-1についてはいくつかの報告がある。Ca++シグナルの下流で三量体G蛋白質のalphaサブユニットであるGOA-1はDGK-1を活性化する。DGK-1はDAGをPAに変換することにより、細胞中のDAGレベルを下げることによって、その下流のシグナル伝達を抑制する。FLP-10の下流でDGK-4も類似のシグナル系で働いているのかを解析する。3.flp-10変異体ではDTC内のCa++レベルに影響を与えている可能性が考えられる。そこで、Ca++レベルのセンサーとして知られるG-CaMPをDTCで発現させ、野生型、flp-10、mig-23変異体で違いがあるのかを検討する。4.細胞外ATPは細胞膜に存在するFoF1-ATP synthaseにより直接合成される可能性もあるが、細胞内のミトコンドリアで合成されて細胞外に分泌される可能性も考えられる。後者の場合、ATPは細胞膜に存在するinnexin channelからの分泌が予想される。CeNGEN databaseでは15種類のinnexinがDTCで発現することが分かった。そこで、これらの遺伝子をflp-10変異体でRNAi ノックダウンを行い、DTC移動異常を抑制する遺伝子があるかを探索する。候補遺伝子が見つかった場合は、当該遺伝子の変異体とflp-10との二重変異体を作成して解析を行う。
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