研究課題/領域番号 |
22K06242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
林 周一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50568938)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 海馬 / シナプス終末 / 小胞放出 / SBF-SEM / 大脳皮質 / 視床 |
研究開始時の研究の概要 |
動物が運動をする際、自らの動きに応じて常に変化する外界からの感覚情報(景色や音など)を受け取り、脳内で処理、統合することで、次の運動の指令を出す感覚運動統合を行っており、このおかげでスムーズな運動が実現できる。感覚運動統合は、視床の中でも主に大脳皮質からの入力を受ける高次視床核が関与する。この制御は感覚情報が劇的に増える生後に発達すると考えられるが、その神経回路の詳細な形成メカニズムは未解明である。本研究は、高次視床核のシナプス成熟を制御する分子機構を明らかにし、そのシナプス成熟過程を阻害すると高次視床核の機能活動がどのように変化するのかを解析する。
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研究実績の概要 |
海馬における神経回路のシナプス形成の分子制御機構を明らかにするために、まず、子宮内電気穿孔法を用いて海馬のCA3領域に蛍光タンパク質を導入し、シナプス終末の形態を解析した。その結果、軸索で小胞放出を抑制したマウスでは、シナプス前終末と後終末の形態形成が阻害されることが分かった。このことは、シナプス前終末からの小胞放出がシナプス後終末の形態形成にも重要であることを示唆する。次に、蛍光顕微鏡で観察された形態異常の詳細を明らかにするために、Serial Block-Face Scanning Electron Microscopy (SBF-SEM)を用いて、シナプス終末の3次元微細形態解析を行った。材料は上記と同様に、シナプス前終末からの小胞放出を抑制し、同時にその軸索を蛍光タンパク質で標識されるように遺伝子改変したマウスを用いた。成獣のホモ接合型と同腹のヘテロ接合型の各2匹を灌流固定し、取り出した脳をスライスした。その後、申請者がスイスのGraham Knott博士らと開発した光-電子顕微鏡相関法(MacLachlan et al., 2018)による観察を行った。まず、光学顕微鏡を用いて目印となる血管や細胞を撮影した。さらに、蛍光標識されたシナプス前終末の共焦点顕微鏡像を取得した。その後、生理学研究所において、スライスを電子顕微鏡観察用に染色し、樹脂包埋を行った。SBF-SEM観察では、血管や細胞体の位置を目印にして、事前に取得した蛍光顕微鏡像の領域を探し、30 nmごとの連続電子顕微鏡画像を取得した。その結果、小胞放出を抑制したマウスでは、シナプス終末形態が異常になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、SBF-SEMを用いたシナプス終末の3次元微細形態解析を行った。申請者がスイスのGraham Knott博士らと開発した光-電子顕微鏡相関法(CLEM)が海馬の神経回路の解析にも適用できることが分かった。この手法を用いて、これまでに2組のマウスの標本観察を行い、順調にデータを取得することができた。現在、そのデータのセグメンテーションや3次元モデルの解析を進めている。さらに、胎生期から新生児期のマウスに対して、電気穿孔法を用いて海馬の領域ごとに蛍光タンパク質を発現できるようになった。この手法とゲノム編集を組み合わせることによって、海馬のシナプス終末形成を制御する遺伝子を同定できることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きSBF-SEMデータの解析を行う。また、その解析結果を発表するために、論文作成を進める。また、電気穿孔法とゲノム編集を組み合わせて、海馬のニューロンの遺伝子操作を行う。シナプス終末形成に関わることが予想される遺伝子を中心に欠損させることにより、海馬の複雑なシナプス終末形成の分子制御を明らかにする。さらに現在、生後のマウスから海馬を取り出し、スライス培養をする系の確立を試みている。先行研究で報告されているように、海馬スライスを膜上に配置し、培養液と気層の間で培養する方法を用いる。培養条件の最適化を行い、特定の遺伝子を欠損した際のシナプス終末の形成の異常の有無を検討する。さらに、将来的にシナプス終末形成過程のライブイメージングや電気生理学的な実験ができる系の確立を目指す。
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