研究課題/領域番号 |
22K06245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 陽平 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00588056)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 始原生殖細胞 / 代謝調節 / エピゲノム制御 / 栄養 / 代謝 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでに、糖質がN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)へと変換され、タンパク質に付加されるO-GlcNAc化反応により始原生殖細胞形成を制御することを明らかにしたが、その詳細な分子メカニズム、および母体栄養の胎仔生殖細胞形成への影響は未だ明らかになっていない。そこで本研究では、始原生殖細胞形成時にO-GlcNAc化される標的タンパク質の特定と解析を通して、多能性幹細胞から始原生殖細胞へと運命決定が起こる際に、糖質代謝がどのような役割を果たすか、また糖質代謝を調整する食事を妊娠母体に供与した場合、胎児の生殖細胞形成・分化がどのような影響を受けるかを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
代表者は、タンパク質の糖付加修飾による始原生殖細胞の形成制御の仕組みを明らかにするため、その標的タンパク質と制御機構の解明を進めた (i)。また、妊娠マウスへの糖質制限食給餌による胎仔始原生殖細胞形成の低下が、タンパク質の糖付加修飾やエピゲノム状態の変化を介したものであるか、またそうだとしたらその影響は生殖細胞分化のどの段階まで維持されるのか、といった課題に取り組んだ (ii) 。 (i) 培養下でマウス始原生殖細胞を分化誘導時に糖付加修飾をうけるタンパク質の同定とその制御機構:申請者は昨年度に、ヒストンメチル化制御因子や転写因子等、始原生殖細胞において糖付加修飾を受けるタンパク質を同定し、糖付加修飾はタンパク質の安定性を増強することを見出した。今年度は、これらの修飾が始原生殖細胞のエピゲノムにどのような影響を及ぼすかを検証し、次世代シークエンス解析により、糖付加修飾の阻害により当該ヒストンメチル化が全ゲノム的に低下することを見出した。 (ii) 妊娠マウスへの低糖質ダイエット給餌による始原生殖細胞形成への影響の解析:低糖質、高脂肪のケトン食餌を妊娠マウスに給餌すると、妊娠マウスの血糖値の低下が見られ、その胎仔の始原生殖細胞形成が低下すること、糖付加修飾およびヒストンメチル化が低下することを昨年度見出した。今年度はこれらの変化が生殖細胞分化のどのような時期まで継続して見られるかを検証し、新生仔期の生殖細胞においてもエピゲノム変化や生殖細胞数の低下が維持されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度には、3年に亘って行う予定であった始原生殖細胞形成における糖付加修飾の役割の解明の大部分を完了し、その結果の論文発表に至った(Hayashi et al., EMBO Rep., 2023)。また、胎仔期糖質制限の影響が新生仔の生殖細胞数やエピゲノムに影響を与えることが明らかになったことから、成体の生殖機能や次世代への影響が発生する可能性が強まり、研究展開の広がりを得た。
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今後の研究の推進方策 |
糖質代謝は様々な局面で細胞の機能や分化に重要な役割を果たす。これまでに代表者は、糖付加修飾が、始原生殖細胞の形成期だけでなく、生殖細胞の分化にも決定的な役割を果たすことを突き止めている。今後は、より後期の生殖細胞分化や成体期の生殖細胞の維持における糖付加修飾の役割の解明を進める予定である。
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