研究課題/領域番号 |
22K06246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣川 信隆 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 名誉教授 (20010085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 左右決定機構 / ノード流 / ポリシスチン / 細胞外小胞 / 神経可塑性 / 左右軸決定 / ノード流 |
研究開始時の研究の概要 |
体の左右軸決定の機構は胎生初期 node の単線毛 の回転により発生する胎児外液の左向きノード流が基盤的役割を担うが、 その後のnode 左側でのCa ++濃度上昇へ繋ぐ機構は不明であり、ノード流による線毛の傾きを物理的に感知するmechano-sensor 仮説とノード細胞から分泌され左へ流される形態形成因子を感知するchemo-sensor 仮説の2つがある。本研究では、 光蛍光転移 KiKGR - Pkd1L1マウスを作製しPKD1L1がノード流により左 へ移送され、PKD1L1/PKD2 ポリシスチン複合体がNodal を感知し左優位なCa ++濃度上昇をchemo-sensor として惹起するかを研究する。
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研究実績の概要 |
体の左右軸決定の分子機構は、発生生物学の重要課題である。胎生初期ventral node の単線毛の回転により胎児外液の左向きノード流が発生しこれが基盤的役割を担う事が示されたが、その後に起こるventral node 左側でのCa ++イオン濃度上昇を繋ぐ分子機構は不明であり、PKD1/PKD2 複合体が、ノード流によってもたらされるNode 線毛の傾きを物理的に感知するmechano-sensor として働くというmechano-sensor 仮説とノード細胞から分泌されるmorphogen が左に流されそれを感知するchemo-sensor として働くという2つの仮説がある。本研究では、photoconvertible KiKGR - Pkd1L1マウスを作製し、ventral node でPKD1L1がノード流により左側へ移送され、左優位の局在を示し、PKD1L1/PKD2 ポリシスチン複合体がNodal をリガンドとして感知し左優位なCa ++イオン濃度上昇をchemo-sensor として惹起し、morphogen 仮説を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PKD1L1の動態解析の為に、CRISPR/Cas9 法により光蛍光転移KiKGR tag でマウスPkd1L1 遺伝子N-末を標識し、光蛍光転移 を用いてventral node でのPKD1L1の動態、左への移送及び左優位の局在の有無を検討した。 1)私達は、まずPKD1L1 とNodal の免疫細胞化学を行いventral node でPKD1L1 蛋白が左のendoderm crown cells(ECCs)に強く局在し、一方Nodal 蛋白は、左右両側に局在する結果を得た。次にPKD1L1 と Nodal の局在をwhole mount proximity ligation assay を用いて解析しventral node の左側で優位に共局在のシグナルが検出された。更に左のcrown cells により取り込まれ内在化されたPKD1L1 がポリシスチン活性を上昇させNodal により誘引される長く持続するCa ++イオン濃度上昇を誘引する結果を得た。 2)CRISPR/Cas9 法により光蛍光転移KikGR cDNA をC57BL/6 マウスPKD1L1 遺伝子start codon の前にknock inし、photoconvertible fluorescence の緑から赤への蛍光転移によりin vivo でPKD1L1蛋白の動態を追跡することが出来た。点状の蛍光シグナルが2-somite stage の胎児の左半分(左NCCを含む)に優位に局在した。 更に蛍光転移実験により、シグナルが左に移送され、PKD1L1 蛋白が、nodal pit cells(NPCs)で翻訳後ノード流で左に移送されることが示され、今まで未知であった左向きノード流と左優位なCa ++イオン濃度上昇を繋ぐ最も重要なFGFR 依存性の分子機構であることを示すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の計画以上に進展している。今後は、FGFR 情報依存性にnodal pit cells(NPCs)から放出される細胞外小胞の生化学・免疫細胞化学的解析により他の重要な蛋白質の解析を行う。
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