研究課題/領域番号 |
22K06252
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 有紀 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90508186)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 内皮-造血転換 / 細胞サイズ制御 / アクアポリン / ANO1 / Decorin / 浸透圧 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄造血を担う造血幹細胞は、胚発生期に血管内皮細胞が分化転換することにより生み出される。内皮-造血転換の際、扁平・付着性の血管内皮細胞から球形・遊離性の造血幹細胞への急激な形態変化がおこる。さらにこの過程で細胞サイズ(体積と表面積)が4分の1以下まで縮小する。細胞の縮小は、血流循環型の細胞拡散に必須のしくみと考えられるが、その分子メカニズムは全く不明である。内皮-造血転換後に血管内腔へ遊離した造血幹細胞は、血流循環により肝臓内へ運搬されて一時的に貯留されたのち、さらに血流に乗って骨髄へ移動する。このような造血幹細胞に特有の広域移動現象の意義を本研究を通じて理解したい。
|
研究実績の概要 |
骨髄造血を担う造血幹細胞は、胚発生期に血管内皮細胞が分化転換することにより生み出される。これを「内皮-造血転換」と呼ぶ。内皮-造血転換の際、扁平・付着性の血管内皮細胞から球形・遊離性の造血幹細胞への急激な形態変化がおこる。さらにこの過程で細胞サイズが縮小する。細胞サイズの低下は、血流循環型の細胞拡散に必須のしくみと考えられるが、その分子メカニズムは全く不明である。この課題を解決するため、水チャネルAQP1を高レベル発現する造血性血管内皮細胞において共発現するカルシウム依存性クロ ライドチャネルANO1に着目し、解析を進めてきた。in vitro内皮-造血転換モデルに対してANO1阻害剤T16A-inhA01を作用させたところ、コントロール細胞群と比較して造血性血管内皮細胞群の体積および表面積の減少がみられた。この結果から、ANO1は細胞サイズの維持に必要であることが示唆された。前年度に実施したin vivoでのノックアウト解析からは、ANO1は細胞の球状化に必須であるが、細胞サイズの制御には関わらない可能性が示唆されている。実験条件の違いによりANO1の機能阻害の影響が異なる点について考察を進めている。本年度は、造血性血管内皮細胞において高レベル発現する分子 Decorinについても解析を行なった。in vitro内皮-造血転換モデルに対して過剰量のDecorinを作用させると、VE-カドヘリンが内部化して血管内皮細胞間の接着が抑制されるとともに、細胞サイズの低下を誘導できることが判明した。Decorinがどのような機構を通じて血管内皮細胞間の接着を特異的に抑制するのかが今後の課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内皮-造血転換の過程で細胞サイズ制御に関わる可能性のある2分子を同定しつつある。どちらもこれまで内皮-造血転換への関与が示唆されたことのない分子群であり、新規メカニズムの提案に繋がることが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに実施したRNA-seq解析から、Decorinと同じ低分子ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーに属するOsteoglycin、Lumicanも、内皮-造血転換中の細胞群において高レベルにmRNAを発現している。これらの分子群が冗長的に内皮-造血転換に関わる可能性があるため、多重ノックアウト解析を行い、その影響を調べる。
|