研究課題/領域番号 |
22K06257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 周平 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (20363997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 卵母細胞 / 動原体 / Ndc80 / 減数分裂 |
研究開始時の研究の概要 |
マウス卵母細胞では動原体タンパク質であるNdc80はC末端領域がPrc1を介して紡錘体を二極性化すること、そしてC末端以外の領域が異なる経路により紡錘体を二極性化することが予想される。そこでNdc80とPrc1が紡錘体を形成する微小管の極性に与える影響を解析する。さらにNdc80のC末端以外の領域が紡錘体を二極性化する経路を明らかにするため、その経路に関わる因子の単離、同定を試みる。そして得られた因子が紡錘体の二極性化に与える影響を解析する。 Ndc80を介した紡錘体の二極性化機構を明らかにすることにより、卵母細胞において染色体分配異常がおこりやすい原因の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
動原体タンパク質であるNdc80は微小管と直接相互作用し、染色体分配に必要な安定な微小管との接続を形成する。我々はマウス卵母細胞の減数第一分裂において動原体タンパク質であるNdc80が紡錘体の二極性化に必要であること、そしてNdc80がその微小管との接続能とは独立した機能において紡錘体を二極性化することを明らかにした(Yoshida et al., 2020)。 動原体タンパク質であるNdc80を介した紡錘体の二極性化機構では、動原体キナーゼの活性が重要であることが明らかとなってきた。我々は紡錘体の二極性化に機能するNdc80とPrc1の動原体キナーゼによるリン酸化部位を同定し、変異型Ndc80やPrc1が紡錘体の二極性化に与える影響を解析した。その結果、動原体キナーゼによるPrc1のリン酸化が紡錘体二極性化に重要であることが示唆された。 また、Ndc80のC末端領域はNdc80の微小管との接続能とは独立して紡錘体二極性化を促進する。しかしNdc80はC末端以外の領域も紡錘体二極性化に機能していることが予想される。そこで酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより、Ndc80のC末端以外の領域と相互作用する因子を単離、同定した。そして候補因子に対するsiRNAを卵母細胞に導入し、紡錘体の二極性化を解析した。その結果、いくつかの候補因子を抑制した卵母細胞において紡錘体の二極性化に遅延が観察された。Ndc80がC末端以外の領域においても紡錘体の二極性化を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動原体タンパク質であるNdc80はPrc1を動原体へと集積し、Ndc80とPrc1は紡錘体に二極性化に重要である。そして動原体キナーゼがNdc80を介した紡錘体二極性化機構を制御していることが明らかとなってきた。 我々はNdc80とPrc1タンパク質を精製してin vitroで動原体キナーゼによりリン酸化し、マススペクトロメトリー解析によりリン酸化される部位を同定した。同定したアミノ酸に変異を導入し、紡錘体二極性化への影響を解析した。その結果、リン酸化されない変異を導入したPrc1においては紡錘体二極性化能が低下していることを見出した。動原体キナーゼがPrc1をリン酸化することが紡錘体二極性化に重要であることが示唆された。 Ndc80のC末端領域を発現した卵母細胞はPrc1を抑制すると紡錘体の二極性化に失敗するのに対し、Ndc80の全長を発現した卵母細胞はPrc1を抑制しても紡錘体が二極性化する。Ndc80のC末端以外の領域がPrc1とは異なる因子を介して紡錘体の二極性化に機能することが予想される。そこでNdc80のC末端以外の領域と相互作用する因子を酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより単離、同定した。そして同定したいくつかの候補因子をsiRNAにより抑制した卵母細胞において、紡錘体の二極性化に遅延が生じることを見出した。Ndc80がC末端以外の領域においてPrc1とは異なる因子を介して紡錘体の二極性化を促進していることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
マウス卵母細胞の減数第一分裂において、動原体タンパク質であるNdc80が紡錘体の二極性化には必要である。動原体微小管接続が不安定な卵母細胞では動原体キナーゼの活性が紡錘体の二極性化に必要であるのに対し、動原体微小管接続が正常な卵母細胞においては動原体キナーゼの活性を阻害すると紡錘体の二極性化に遅れが生じる。マウス卵母細胞の減数第一分裂では紡錘体が動原体を介した複数の経路によって二極性化されることが予想される。 マウス卵母細胞の減数第一分裂では動原体微小管接続が減数第一分裂の進行に伴い安定化する。そこで動原体キナーゼを阻害することで生じる紡錘体二極性化の遅れが染色体分配に及ぼす影響を解析する。複数存在する紡錘体の二極性化経路において、動原体キナーゼが制御する紡錘体の二極性化機構が染色体を正しく分配するために重要であるかを明らかにする。 動原体タンパク質であるNdc80は逆方向性微小管を架橋するPrc1を動原体へと集積し、紡錘体微小管の極性に影響を与えることで紡錘体の二極性化を促進していることが予想される。そこでNdc80を結合させたマイクロビーズを作製し、in vitroで微小管の極性に与える影響を解析する。紡錘体の極性を決定づける中心体の存在しないマウス卵母細胞の減数第一分裂において、動原体が微小管の極性に与える影響を明らかにする。
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