研究課題/領域番号 |
22K06259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
西山 佳孝 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30281588)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光合成 / 環境 / 光 / 損傷 / 修復 / ストレス応答 / 遺伝子 / タンパク質 / 光化学系 |
研究開始時の研究の概要 |
光化学系II複合体は、強光下では絶えず損傷を受けては修復される。本研究では、光化学系IIの修復機構の中で最大の謎である「酸素発生系マンガンクラスターの再生」のメカニズム解明に挑む。シアノバクテリアのチラコイド膜を用いて酸素発生系の再生に関与する因子を生化学的な手法により特定する。得られた候補遺伝子のノックダウンや、組換えタンパク質の生化学的解析などを行い、酸素発生系の再生因子を特定してその再生機構を解明する。
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研究実績の概要 |
光化学系II(PSII)は光による損傷を受けやすいが、修復機構によって速やかに修復される。研究代表者らは、これまでに光損傷機構に関して新たなモデル「Two-step説」を提唱し、修復を制御する新たな機構を見出してきた。本研究では、Two-step機構の詳細を解明し、修復機構の中で全く未解明な酸素発生系の再生機構の解明を目指した。昨年度の研究では、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803から単離したチラコイド膜に人工電子授与体の存在下で強力な紫外線(UV-A; 365 nm)を照射することにより、PSIIの酸素発生系のみが損傷を受け、反応中心が無傷な状態の「損傷中間体」を捕捉することに成功した。本年度は、損傷中間体が光によってどのように失活するか、そのメカニズムを解析した。 まず、損傷中間体に様々な波長の可視光を照射したところ、青色光および赤色光の照射により反応中心がしたが、緑色光の照射ではほとんど失活しなかった。また、嫌気条件で光照射しても、好気条件と全く同様に反応中心が失活した。さらに、損傷中間体に光増感剤ローズベンガルの存在下で白色光を照射して多量の一重項酸素を発生させても、反応中心の失活は促進されなかった。また、ローズベンガルの存在下で緑色光を照射して多量の一重項酸素を発生させても、反応中心はほとんど失活しなかった。以上の結果から、光損傷の第2段階は、クロロフィルが吸収する光によって反応中心が損傷を受け、その損傷には一重項酸素が介在しないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シアノバクテリアのチラコイド膜を処理して得られた「損傷中間体」の光損傷を様々な条件で解析した結果、光化学系IIの光損傷第2段階メカニズムの詳細を明らかにすることができ、概ね当初の目標は到達できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、UV-A照射によって損傷したチラコイド膜に細胞成分を添加して、酸素発生活性の回復を解析し、酸素発生系の再生に必要な因子の探索を進めていく予定である。
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