研究課題/領域番号 |
22K06262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
金岡 雅浩 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10467277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 受精 / 植物有性生殖 / 花粉管 / 胚珠 / 花粉管誘引 / 雌性配偶体 / トランスクリプトーム / 遺伝子導入 / 小胞輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、(1) 重要な作物種において花粉管伸長を制御する誘引因子を同定すること、(2) 複数種由来の誘引因子の構造活性相関解析から、誘引活性を示すための構造の共通性、活性に種特異性をもたらすための構造の多様性について明らかにすること、(3) 花粉管を利用した遺伝子導入・発現系の開発である。 目的(1)(2)で花粉管(♂)と雌しべ(♀)の細胞間でのコミュニケーションにおいて鍵となる花粉管誘引因子の構造の共通性・多様性の理解が深まれば、植物生殖研究に大きく貢献すると期待される。 また目的(3)で新規遺伝子導入法が確立できれば、モデル植物以外の植物にも応用できると期待される。
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研究実績の概要 |
生物の種が維持されるためには、同種の配偶体を選別して受精することが重要である。被子植物では、胚珠から花粉管の伸長や誘引を制御する分子が分泌され、同種の花粉管を選択的に受け入れる。私はこれまでに、トレニア・シロイヌナズナを用いて複数の花粉管誘引因子を同定した。またトマトの胚珠トランスクリプトーム解析より誘引因子の候補遺伝子を得ている。 本研究は、花粉管誘引を深く理解するため、(1) 重要な作物種において花粉管の伸長を制御する誘引因子を同定すること、(2) 複数種由来の誘引因子の構造活性相関解析から、誘引活性を示すための構造の共通性、活性に種特異性をもたらすための構造の多様性について明らかにすること、を目的としている。これらの解析を通じて、花粉管の伸長や誘引を制御する因子の構造と機能について理解を深める。また、形質転換に時間のかかる植物での応用を目指して、(3) 花粉管を利用した新規遺伝子導入法の開発を試みている。 2023年度はトマトなどのin vitro受精系の見直しをおこなった。花粉管および胚珠の共培養が可能になる培地組成の検討をおこなっている。また、花粉管誘引に関わると考えられる遺伝子の詳細な発現解析や、ゲノム編集によるノックアウト個体の作成を目指して、形質転換体を作出している。 本研究と関連する植物有性生殖研究および共同研究の成果として、国内学会での口頭発表(1回)をおこなった。また、国際誌(査読有り)に共著者として2本、論文を発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の途中で、名古屋大学から県立広島大学に異動した。新しい環境では植物がうまく育たないなどのトラブルがあり、また、学部生の教育の負担もかなり大きかったため、当初の予定よりは研究が遅れている。研究環境は少しずつ改善しており、形質転換植物を作出するなど、進捗の遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
(1) トマトでの花粉管誘引因子の同定。前年度に引き続き、胚珠で発現しCRPをコードする遺伝子に着目してその機能を解析する。その1つであるCRP#11は助細胞 で発現しノックアウト株は種子形成不全となる。令和5年度は主にCRP#11の機能解析をおこない、同時に他の遺伝子のノックアウト株を作成する。これらの遺伝子の解析により、トマトでの花粉管誘引因子を同定することを最終目標とする。 (2) 複数種由来の誘引因子の構造活性相関解析。本年度は、新規花粉管誘引因子の候補遺伝子について、その発現やノックアウトによる影響を植物個体レベルで詳細に解析する。(1)よりトマトにおける花粉管誘引因子(LUREやCALL1に相当する分子)が 同定できていれば、構造をトレニア・シロイヌナズナのそれと比較し、同様のキメラタンパク質を作成してそれぞれの種の花粉管に対して誘引活性を検討する。以上の解析を通じて、誘引活性を示すための構造の共通性、活性に種特異性をもたらすための構造の多様性について明らかにする。 (3) 花粉管を介した新規遺伝子導入・発現系の構築。花粉管細胞膜の構成成分を模した小胞を作成し、その中にmRNAやアンチセンスオリゴなどを封入する。この 小胞を、培地上を伸長する花粉管に与えることで、内容物の取り込みとそれによる遺伝子発現・発現抑制が起こるかを検討する。うまくいけばトマトにおいても 同様の手法で遺伝子発現を検討する。
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