研究課題/領域番号 |
22K06267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 若奈 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (10725245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ブランチ形成 / 腋芽メリステム / 幹細胞 / TAB1遺伝子 / イネ / 腋芽形成 / 光シグナル / ブランチ |
研究開始時の研究の概要 |
植物のブランチ形成は、植物に内在する機構だけではなく、光シグナルに応答した機構によっても制御されている。ブランチ形成の2つの過程のうち、「腋芽伸長」が光の強度・質に応答して制御されていることが知られている一方で、「腋芽形成」と光シグナルの関係は未解明である。 これまでに、イネの腋芽形成機構の一端を明らかにしてきたが、この研究を実施する中で、腋芽形成が光シグナルに制御されている可能性を見出した。本研究では、植物の光シグナルに応答した腋芽形成機構を明らかにすることを目的として、光シグナルの影響を解析する新規実験系を確立し、野生型や腋芽形成関連突然変異体の表現型を分子レベルで解析する。
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研究実績の概要 |
これまでに、私たちの研究グループでは、イネにおける腋芽形成の制御因子候補(光シグナルも含む)を複数見出してきた。本研究では、これら因子に着目することで、光強度に応答した腋芽形成機構を明らかにすると同時に、腋芽形成の新規制御機構を見出すことを目指している。本年度は、まず、光強度が与える腋芽形成への影響を解析するための新規実験系の作出を試みた。人工気象器を用いて、光強度を変えた際のブランチや腋芽の表現型データを収集した。加えて、腋芽形成を制御する新規遺伝子候補の機能解析も実施した。以前私たちは、WOX転写因子をコードするTILLERS ABSENT1 (TAB1) 遺伝子が、イネの腋芽分裂組織の形成に必須であることを明らかにしていた(Tanaka et al., 2015; Tanaka and Hirano, 2020)。このTAB1 遺伝子の花形成時の機能解明を進めていた中、花の発生に関わる既知遺伝子(仮称:「TAB1 SUPRESSOR1 (TAS1)」遺伝子)の突然変異が、tab1変異体のブランチ形成不全を抑圧することを偶然見出した。この結果から、TAS1遺伝子がTAB1 遺伝子の機能に関連して、腋芽幹細胞の維持制御に関わっている可能性が示唆された。そこでまず、TAS1とGFPとの融合タンパク質を発現させるようなコンストラクト(gTAS1-GFP)を作製し、融合タンパク質の発現パターンを解析した結果、gTAS1-GFP融合タンパク質は、TAB1遺伝子が発現する腋芽形成初期の分裂組織予定領域において発現を開始し、腋芽分裂組織が形成される時期には、分裂組織とそこから分化した葉原基において発現することを明らかにした。さらに、複数のメリステム関連マーカーの時空間的な発現解析を行い、TAS1遺伝子が腋芽形成時の幹細胞制御に関与していることも示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、腋芽形成を制御する新規遺伝子を同定し、機能解析を順調に進めている。一方で、光強度と腋芽形成との関係性に着目した研究計画は、当初の計画通りには進んでいない。人工気象器を使って光強度を変えた際のブランチや腋芽の表現型データを何度か収集したが、再現性が取れていないためである。
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今後の研究の推進方策 |
上記の光強度と腋芽形成との関係性に着目した研究については、実験系の改善を行う。最近、同一の人工気象器内でも詳細に光強度を調べてみると、場所によって光強度が若干異なることが判明した。この違いが、ブランチや腋芽の表現型へ影響している可能性を考えている。場所毎による正確な光強度を測定し、実験系の作出を引き続き試みる。加えて、光シグナル研究の専門家に相談して、研究を進めていくことも計画している。 腋芽形成を制御する新規遺伝子候補(TAS1遺伝子)については、引き続き機能解析を進めていく予定である。
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