研究課題/領域番号 |
22K06281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 卓 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (20271710)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シロイヌナズナ / ポリアミン / サーモスペルミン / 維菅束分化 / 突然変異 / 維管束分化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,シロイヌナズナのサーモスペルミン非感受性変異の単離から見つかったRNA修飾酵素について,変異体のトランスクリプトームや酵素機能の解析を行い,mRNA翻訳におけるサーモスペルミンの作用機構の解明を目指すとともに,サーモスペルミンの作用標的であるSAC51ファミリーの遺伝子欠損変異,機能獲得変異を用いた解析から,サーモスペルミンがmRNA翻訳の促進を介して木部分化を抑える仕組みの分子基盤を明らかにする。
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研究実績の概要 |
サーモスペルミンは植物と一部の細菌が持つポリアミンの一つで,種子植物では維管束木部分化の抑制に関わる。シロイヌナズナのサーモスペルミン欠損変異およびそのサプレッサー変異を用いた解析から,サーモスペルミンは木部分化の抑制に関わるSAC51ファミリー遺伝子のmRNA翻訳促進に働くことを突き止めたが,分子機構の詳細は明らかでない。そこで外的なサーモスペルミンが木部分化を抑え,成長を阻害する効果を指標にシロイヌナズナのサーモスペルミン非感受性変異株を探索,単離し,それらの原因遺伝子を同定した結果,いずれもRNA修飾に関わる酵素に異常が見つかった。本研究では,これらRNA修飾酵素の機能を手がかりにmRNA翻訳におけるサーモスペルミンの作用機構の解析をすすめるとともに,作用標的であるSAC51ファミリーの機能解析から,サーモスペルミンがmRNA翻訳の促進を介して木部分化を抑える仕組みの解明を目指す。 3年計画の研究として,(a) サーモスペルミン非感受性変異株itsの各原因遺伝子の確定とその機能解析,(b) サーモスペルミンの作用標的であるSAC51ファミリーの個々の遺伝子の発現制御と機能の解析を並行してすすめた。 4つの非感受性変異its1, 3, 7, 11の原因遺伝子は,染色体マッピングとゲノム解析からRNAメチル化酵素,スプライソソーム解離因子,シュードウリジン化酵素,RNA結合タンパクをそれぞれコードしていると予想され,its1はT-DNA挿入変異を入手してサーモスペルミン非感受性を確認した。初年度はits7の推定原因遺伝子PHIP1のゲノム編集による変異株を作出し,サーモスペルミン非感受性が確かめられたことから,its7の原因遺伝子がPHIP1であることを確定した。また,サーモスペルミンの標的SAC51ファミリーの1つであるSACL1遺伝子のゲノム編集株作出にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,変異株の原因遺伝子の特定が進んでいる。また,ゲノム編集による欠損変異株の作出も順調に成功しており,多重変異の解析を初めとした研究が進展しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
サーモスペルミン非感受性変異株の原因遺伝子は特定されつつあるが,実際にどのようにして応答性が失われるのか,サーモスペルミンの作用標的であるSAC51ファミリーの転写や翻訳への影響を詳細に調べる。 また,研究途上で得られたサーモスペルミン過感受性変異との掛け合わせやSAC51ファミリーの変異との掛け合わせを進めて,多重変異の表現型解析を行う。
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