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細胞センサー一次繊毛の動的変動とその作用点の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K06297
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44040:形態および構造関連
研究機関広島大学

研究代表者

斎藤 祐見子  広島大学, 統合生命科学研究科(総), 名誉教授 (00215568)

研究分担者 小林 勇喜  広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特定准教授 (80736421)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードGタンパク質共役型受容体 / 一次繊毛 / GPCR / 摂食 / 情動 / 海馬神経
研究開始時の研究の概要

一次繊毛長は摂食/情動調節に関連すると考えられているが、繊毛長を短くする生理活性物質は稀である。申請者は、”神経細胞がつくるMCHが繊毛膜にあるMCH受容体(MCHR1)に働きかけ、繊毛長を短くする”という動的現象を初めて見出し、更に縮退に到る連携シグナルも明らかにした。本研究では、MCHR1を介した一次繊毛長の動的変動はどのように細胞生理機能や構造に作用するのか、そして、他の繊毛局在型受容体を介した作用との類似点・相違点、相関関係を解析する。更に、繊毛動態は環境/食品因子によりどのような影響を受けるか、申請者が開発してきた独自の研究ツールを駆使して検討する。

研究実績の概要

一次繊毛は細胞から一本突出する特殊な細胞小器官である。その微小な構造には「選ばれた」タンパク質が高密度に集積し、外界の環境を鋭敏かつ迅速にキャッチするハブセンターとして働く。神経細胞の一次繊毛の場合、その長さが一定の範囲を越えると、樹状突起の複雑性に加え、軸索丘の形態・機能が変化することが示されている。しかし、長さが変わった繊毛において、そのセンサー機能(外部シグナルに対する反応性)は一体どうなるのだろう?この点について、ソニックヘッジホッグ以外の一次繊毛局在型受容体に着目した研究はほとんど見当たらない。私たちは、一次繊毛が関与する摂食・情動の理解を目指し、神経細胞の一次繊毛膜上に局在する限られたGタンパク質共役型受容体 (GPCR) の一つ、メラニン凝集ホルモン受容体1 (MCHR1) に着目した研究を行っている。その成果の一つは、in vitroばかりかin vivoにおいても”神経細胞がつくるMCH(食欲・情動行動の調節物質)が神経細胞繊毛膜に局在するMCH受容体に働きかけ、繊毛長を短くする” というダイナミックな現象を初めて見出した。さらに、繊毛局在型MCHR1モデル細胞とRNA-seqを組み合わせ、繊毛縮退に到る新しい鍵分子及びその下流における連携シグナル経路も明らかにした。2023年度はこの有用なモデル細胞を活用することで、繊毛長変化(伸長、短縮、短縮からの回復)に伴う繊毛センサー機能との関係性を詳しく解析し、新しい知見を得た。さらに、他の繊毛局在型GPCRによる繊毛長変化と機能の関係についても着手している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに繊毛局在型MCHR1発現細胞を用いることで、伸長経路の異なる繊毛伸長モデル系を3種類確立している。この『MCHR1が存在する、形態的には同じに見える長い繊毛』であっても、MCHR1を介したシグナル感受性・MCHによる繊毛縮退機能が大きく異なることは既に報告した。今回は繊毛長を自由自在に操ることにより、以下の結果を得た:[1] MCH-MCHR1軸の機能に加え、血清添加による初期反応と繊毛縮退法も3種類の伸長した繊毛ではそれぞれまったく異なることをライブイメージングにより明らかにした。一般的にはシグナルハブセンターである繊毛が長くなればそのセンサー機能が亢進すると考えられ、そのことを裏付ける報告は多い。ところが、この研究により、伸長に伴い、かえってセンサー能力が喪失してしまう経路の存在を初めて示すことができた。[2] MCH添加により繊毛長が30-40%程度縮退した場合のセンサー能について検討した。その結果、外部刺激により減弱するシグナル系ばかりではなく、逆に大きく亢進するシグナル経路があることを見出した。[3] MCH添加による繊毛縮退後、MCHを除去して一晩置くと繊毛長は元の長さまで回復する。しかし、見た目の長さは回復しても、MCH-MCHR1を介する諸機能はほとんど回復していないことが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

MCHR1以外の3種類の繊毛膜局在型GPCR発現細胞において、それぞれのリガンド添加により、繊毛長が変化することを見出している。そこで、MCHR1発現細胞とこれらの3種類の繊毛動的変化との類似点・相違点、相関関係を解析する。更に、わたしたちは繊毛動態がアミロイドベータ1-42添加により変動することを明らかにしている。そこで、その変動が繊毛センサー能とそれに続く細胞機能にどのような影響を及ぼすのかも検討したい。本研究で得た繊毛動態変化とセンサー能との関連性は、一次繊毛の形態ばかりではなく、そのセンサーとしての諸機能を調べるツール開発に繋がる可能性がある。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of ciliary-GPCR dynamics using a validated organotypic brain slice culture method.2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y and Saito Y
    • 雑誌名

      Methods Cell Biol.

      巻: 175 ページ: 69-83

    • DOI

      10.1016/bs.mcb.2022.09.007

    • ISBN
      9780443185861
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impairment of ciliary dynamics in an APP knock-in mouse model of Alzheimer's disease.2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y, Kobuchi S, Koganezawa N, Sekino Y, Shirao T, Saito T, Saido TC, Saito Y
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 610 ページ: 85-91

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2022.04.050

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞外小胞エクソソームに発現するGPCRの機能解析2024

    • 著者名/発表者名
      濱本明恵 斎藤祐見子 小林勇喜
    • 学会等名
      日本動物学会中国四国支部広島県例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 拘束ストレス負荷に伴うマウスの1次繊毛動態と情動行動の変化2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋凜太朗 濱本明恵 斎藤祐見子 小林勇喜
    • 学会等名
      日本動物学会中国四国支部広島県例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ストレス負荷により生じるうつ様表現型とメラニン凝集ホルモン受容体1 (MCHR1) 陽性一次繊毛の関連解明2023

    • 著者名/発表者名
      小林勇喜 髙橋凜太朗 濱本明恵 斎藤祐見子
    • 学会等名
      日本比較内分泌学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 一次繊毛長はGPCRを介したシグナル受容能を調節する2023

    • 著者名/発表者名
      斎藤祐見子 濱本明恵 小林勇喜
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 一次繊毛におけるドーパミン受容体5のシグナル依存的排出2023

    • 著者名/発表者名
      濱本明恵 斎藤祐見子 徳永優希 小林勇喜
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 一次繊毛長とセンサー能―長ければ機能は亢進するのか?2023

    • 著者名/発表者名
      斎藤祐見子 濱本明恵 小林勇喜
    • 学会等名
      繊毛研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 拘束ストレスにより誘導したうつ様表現型を示すマウスの脳内一次繊毛解析2023

    • 著者名/発表者名
      髙橋凜太朗 濱本明恵 斎藤祐見子 小林勇喜
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 第三世代アルツハイマー病モデルマウスを用いた神経細胞一次繊毛動態の解析2022

    • 著者名/発表者名
      斎藤祐見子 西道隆臣 斉藤貴志 小林勇喜
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 一次繊毛とドーパミン受容体の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林 勇喜 徳永 優希  斎藤 祐見子
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 急性拘束ストレス負荷に伴うメラニン凝集ホルモン受容体1 (MCHR1) 陽性1次繊毛の動態解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林勇喜 水野愛香 斎藤祐見子
    • 学会等名
      日本比較内分泌学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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