研究課題/領域番号 |
22K06303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
佐野 香織 城西大学, 理学部, 准教授 (70612092)
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研究分担者 |
神田 真司 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50634284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 卵膜 / zona pellucida / メダカ / 卵膜の厚さ / 魚類卵膜 / 卵膜の厚さの制御 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類の卵膜の厚さの制御に、卵細胞が分泌するfurinが関与しているという仮説に基づき、furinの阻害・furinの正確な発現時期のプロファイリング、furinが存在する期間の延長、さらには卵膜の厚さの異なるメダカ近縁種間における初期生殖細胞の移植などの実験を計画している。それにより、卵膜の厚さが種内では厳密に制御、しかし種ごとには異なる厚さとなる制御の仕組みを明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
脊椎動物の卵細胞を多く構造物はzona pellucida (ZP)タンパク質により構成されている。体外受精を行う魚類において、ZPタンパク質で構成される卵膜は、産卵環境に適合した厚さや性質をもち、また孵化時に卵膜を分解する孵化酵素との関係も綿密に調整されている。本研究では、受精や多精拒否、胚の保護など様々な局面で重要な卵膜の厚さが、どのようなメカニズムで決定されるのかを解明することを目指している。 真骨魚類の進化過程において、zp遺伝子の発現場所は卵細胞から母体の肝臓に変化したことが知られている。その結果、メダカなどの正真骨類では、肝臓で合成したZPタンパク質は血流を介して卵巣へと運ばれ、重合して卵膜となる。このように、産卵期のメスの血中には常に多量のZPタンパク質が存在しているにもかかわらず、同じ種の卵膜の厚さはほぼ一律になる。このことから、卵細胞にはZPの重合を止めて、厚さを一定に決める何らかの機構が備わっているのではないかと考えている。 培養細胞を用いてZPリコンビナントタンパク質を作製し、メダカ腹腔投与実験または単離培養卵巣への添加実験を行った。その結果、どれだけZPタンパク質の濃度を濃くしても一定以上の卵膜の厚さにはならないことが明らかとなった。また、哺乳類のZP重合にはfurinにるprocessingが必要である。魚類の卵膜においてこれが必要であるかはまだ明らかになっていないが、必要であった場合、これがZPの重合を終わらせることに関与しているかもしれない。そこでfurinによる切断サイトに変異を入れたZPを作製し、卵膜形成にどのような影響をもたらすかを解析した。さらに現在、卵膜の厚さの異なるメダカ近縁種を用いて、始原生殖細胞を移植により卵膜の厚さがドナー、レシピエントどちらのものになるのか解析をしようとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
始原生殖細胞に蛍光が見られるトランスジェニックメダカの細胞を、卵膜の厚さの異なるメダカに移植する実験がうまくいっていないため。 しかし、リコンビナントタンパク質を用いた実験はおおむね順調に進んでいる。哺乳類のZP重合ではfurinによるprocessingが必須である。メダカなどの魚類でもこれが同様に必須であるかを明らかにするため、このサイトに変異を入れたリコンビナントZPによる卵膜形成実験などを行っており、こちらは順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
d-rR系統において卵細胞のステージごとのRNA sequence解析を行う。fuirn遺伝子のmRNA発現はもちろん、その他のゴナドトロピン受容体やビテロジェニントランスポーターなど、特定の卵形成ステージに発現する遺伝子を見いだすことにより、卵膜形成を終わらせる原因遺伝子を見つけたいと考えている。
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