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雌雄両性のペプチド性フェロモンによる生殖コミュニケーション機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06305
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44040:形態および構造関連
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

中田 友明  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50549566)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード性フェロモン / ソデフリン / アイモリン / アカハライモリ / 生殖行動 / 両生類 / プロモーター / 遺伝子組換え / ノックアウト / 配偶者選択
研究開始時の研究の概要

本研究では以下の3点について研究を展開する予定である。
[1]多成分性雄性フェロモンの機能解析:雄イモリの肛門腺に発現するソデフリンとその類縁遺伝子を特異的に欠損させた動物を作成、正常雌との配偶行動や繁殖成功率を正常雄と比較し、個々の性フェロモンの役割を解析する。
[2]各性フェロモン受容体および性フェロモン応答神経系の同定:イモリ性フェロモンの受容体タンパク質は同定されていないため、その遺伝子クローニングや脳内神経系の同定を行う。
[3]各性フェロモンに対する応答神経系の調節機序の解明:生殖期には雌雄とも異性の性フェロモンに応答する感覚細胞が増加するので、その内分泌学的機序を探る

研究実績の概要

イモリをモデルに、雌雄両性の性フェロモン応答処理中枢神経系と、その内分泌学的調節機序の詳細を解析することを目的としている。本年は以下の4つの実験を行い、それぞれに一定の成果を得た。
1. 雄性フェロモンソデフリンのノックアウト(KO)動物の生殖障害を確認:ソデフリンペプチドのコード領域上流でのフレームシフトを誘発させることで作成した性フェロモンKO動物(F0)同士を交配させ、非モザイク性のF1動物を得る予定であったが、F0動物同士の交配実験によって得た卵(326個)が発生(卵割)することはなかった。一方で、チロシナーゼ遺伝子のKO動物のF0同士においては、同様の交配実験によって50%以上の卵が非モザイク性のアルビノ個体(F1)に発生したことから、雄性フェロモンソデフリンをKOした動物での配偶コミュニケーションが障害されたことで産卵された卵全てが未受精卵であった可能性が高いと判断した。
2. 今後の解析に必要なアルビノ個体の準備:上記の通りゲノム編集により作成したメラニンを持たないアルビノイモリのF1個体を得て、今後の蛍光シグナルでの解析を容易なものとした。
3. アフリカツメガエル遺伝子導入技術のアカハライモリへの応用:アフリカツメガエルで外来遺伝子の導入に適したゲノム領域(セーフハーバー)であるtgfbr2遺伝子座に対する外来遺伝子導入技術(NEXTrans: New and Easy-Effient Xenopus Transgenesis)をアカハライモリで実施した結果、アカライモリでもトランポザーゼ(Tol2)を利用した遺伝子導入よりも高効率に遺伝子導入が実施できると結論づけた。
4. 新規性フェロモンの探索:前年度成熟した雌個体の飼育水中に雄を求愛行動に駆り立てる物質が含まれることを見出したが、同物質が低分子量物質であり、凍結乾燥によって失活しないことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究課題では昨年度に、生殖行動の解析に用いる遺伝子ノックアウト(KO)、もしくは導入動物の作成を着手し、雄の求愛行動を誘発する新規因子の存在を認めたが、今年度は、雄性フェロモン遺伝子KO動物を用いて、実際の生殖活動を観察し、新規の雄性行動誘発因子の物性に関してもいくつかの知見を得ることができた。
具体的には、性フェロモン遺伝子KO個体では極めて強い生殖障害があることを認めたことに加え、アフリカツメガエルで開発された技術の応用によってアカハライモリの遺伝子導入が簡便化できたこと、未知の求愛行動誘発因子が分子量10000以下の画分に含まれる比較的分子量の小さな分子(もしくは、比較的分子量の小さな複数の分子)で、凍結乾燥によってその(もしくは、それらの)活性が失われないことを確かめ、同物質の単離精製を今後行う予定となったことなどである。

以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

本年度までに作成した性フェロモンの受容に関わる神経回路同定に利用可能な遺伝子改変動物の解析を行う。
すなわち、①神経活動依存的に発現する最初期遺伝子(Egr-1)プロモーター下流にレポータータンパク質(細胞ごとに異なる多色の蛍光タンパク質を発現するように構成されたBrainBowとよばれる導入遺伝子群)を配した動物を性成熟まで飼育し、同個体の性フェロモンの受容時や求愛時に発火する神経を可視化する(同レポーター蛍光シグナルが対象となる行動発現時のみの神経活動を記録するよう、薬剤によるCreリコンビナーゼ誘導後にレポータータンパク質の発現が誘起されるTet-onシステムを使用する)。②ソデフリンKOイモリでみられた生殖障害が、実際に成体雄で性フェロモンの生成がなされないことによる生殖コミュニケーション障害に起因するのか、非モザイク性のF1動物の表現型として、受精や卵割、発生の異常が起きているのかを、F0個体同士の人工受精や、野生型個体との交配実験、生殖行動の解析などを実施することで、明らかにする。

また、雌飼育水中に含まれる雄の求愛行動誘発因子の同定(飼育水中からの活性物質の精製)を行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 雌イモリ飼育水存在下で樹脂模型に対して誘起される雄の性行動2023

    • 著者名/発表者名
      中田 友明, 齋藤 奈々子, 家久 夏帆, 小松崎 孝龍, 横須賀 誠
    • 学会等名
      日本味と匂学会第57回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 樹脂製模型を用いた雄イモリの 求愛行動誘発因子の解析2023

    • 著者名/発表者名
      中田 友明
    • 学会等名
      日本動物学会第94回山形大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 雄イモリの求愛行動誘発因子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      中田 友明、庄司 茉衣、家久 夏帆、小松崎 孝龍、横須賀 誠
    • 学会等名
      2022年度 日本味と匂学会 第56回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] アカハライモリの求愛と性フェロモン

    • URL

      https://midori-ikimono.com/2023/08/29/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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