研究課題/領域番号 |
22K06314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 偏光視 / 脳 / 記憶・学習 / ミツバチ / ナビゲーション |
研究開始時の研究の概要 |
動物が目的地へ移動するナビゲーション行動は経験によって洗練されて成熟していくが、その脳メカニズムについては不明な点が多い。本研究ではナビゲーションの中枢である脳の中心複合体という領域に着目して、ナビゲーション中のミツバチから神経活動を記録する。神経活動とナビゲーションの成熟度の関係を分析することで、どのような神経メカニズムでナビゲーションションが成熟していくのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
動物が目的地へ移動するナビゲーション行動は経験によって行動が洗練される。よって、ナビゲーションの神経基盤には可塑性があると考えられるが、現在はどこがどのように変化して行動が洗練されていくのかは未解明な点が多い。本研究課題では、ナビゲーションの成熟に関わる脳メカニズムを明らかにし、その神経モデルを提出することを目的としており、昨年度はミツバチの行動経験を定量化できるように、採餌行動のモニタリング可能な観察巣箱を製作した。 今年度は、行動の成熟度と脳の可塑性の関連を解析するための前段階として、成虫ミツバチの脳の解剖学的な変化の可能性を調べた。羽化バチの脳に、EdU(5-エチニル-2'-デオキシウリジン)を注入して、脳で新たに生まれる神経細胞の標識を試みた。中央単眼近傍から10 mM のEdUを2 μL注入し、インキュベータ内にスクロース溶液とはちみつとともに30℃、恒暗条件で3日または7日間静置した。行動の成熟度にはコロニー内での社会性行動が影響していると考えられるため、注入バチを単独で飼育する単独飼育群と注入バチ3匹を母コロニーからとってきた内勤バチ5匹とともに飼育する集団飼育群を用意した。その結果、3匹の個体で新生細胞が観察された。主に左右どちらかの脳のキノコ体内側傘にEdUシグナルが検出された。7日間集団飼育したミツバチでは、キノコ体内側傘の外側寄りに121のEdU陽性細胞が、外側傘に20のEdU陽性細胞が見つかった。また、内側傘の繊維層でも少数の陽性細胞が観察された。3日間飼育した群では、集団飼育でも単独飼育でもキノコ体にシグナルが見られた個体はなかった。今後は、他の細胞マーカーとの多重染色を行って、これら新生細胞の細胞種を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度での研究に十分活かされる実験系を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度発見したEdU陽性細胞が、神経細胞であるのかグリア細胞のように神経細胞以外の細胞であるのかは今のところ不明であるので他の細胞マーカーとの多重染色を行って、これら新生細胞の細胞種を明らかにする。それとともに、昨年度までに作製した巣箱でミツバチの採餌行動をモニタリングしながら、フライトシミュレータ内でナビゲーションしているミツバチの中心複合体ニューロンの神経活動を記録する予定である。
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