研究課題/領域番号 |
22K06317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植木 龍也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (10274705)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ホヤ / バナジウム / 海水 / 金属濃縮 / 金属除去 / 遺伝子発現 / 金属除去技術 / 遺伝子機能 |
研究開始時の研究の概要 |
必須栄養素である金属イオンの生理学的意義の研究は鉄や銅で盛んであるが存在量のきわめて少ない極微量元素については研究が進んでいない。本研究ではバナジウムを除去した海水環境でホヤを飼育することで起こる生理学的変化を網羅的かつ多角的に解析する。3年間の研究期間で、バナジウムの高度な除去技術の確立、バナジウム除去海水環境でのホヤ飼育、バナジウム含有量や成長度および遺伝子発現変動等の網羅的解析、発現変動の顕著な遺伝子の機能解析を実施する。本研究で得られる成果は極微量元素であるバナジウムの生理的意義の解明に直接つながると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究ではバナジウムを除去した海水環境でホヤを飼育することで起こる生理学的変化を網羅的かつ多角的に解析する。本年度は(1) バナジウムの高度な除去技術の確立、(2) バナジウム除去海水環境でのホヤ飼育、(3)ホヤ幼若体のRNA-seq解析を行った。 具体的には、項目(1)-1として、固相抽出カラム、バナジウム濃縮能をもつ海洋性細菌を固定化したカラムの2つを検討した。少額備品として2流路ペリスタポンプを購入して実験に用いた。また、項目(1)-2としてホヤの餌である珪藻からのバナジウム除去手法を検討した。項目(2) として、低バナジウム条件下でホヤの飼育を行った。代表的なバナジウム濃縮種であるスジキレボヤの幼若体および成体の飼育を試みた。幼若体はプラスチックシャーレ中で現有の恒温インキュベーターに入れて飼育した。成体の飼育にはオーバーフロー方式の自動排水制御システムを開発した。項目(3)として、正常海水で飼育したスジキレボヤ幼若体のRNA-seq解析を行った。RNA-seqはシークェンスまで外注し、現有PCワークステーションを用いてデータ解析を行った。 以上の研究で、自然海水からのバナジウムのみを除去するのは技術的に困難であること、市販の人工海水は非常にバナジウム含有量が低いこと、人工海水にバナジウムを添加した海水で幼若体を飼育できること、幼若体まるごとRNAを抽出してRNA-seq解析によって遺伝子発現を解析できることがわかった。RNA-seq解析における餌の珪藻による影響は小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進捗している。市販の人工海水は非常にバナジウム含有量が低いことと、人工海水にバナジウムを添加した海水で幼若体を飼育できることがわかった。幼若体まるごとRNAを抽出してRNA-seq解析によって遺伝子発現を解析できることもわかった。関連する研究成果を学術雑誌および学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ当初予定通り推進する。今後2年間の研究期間で、ひきつづき(1)低バナジウム海水環境でのホヤ飼育を行い、(2) バナジウム含有量や成長度および遺伝子発現変動等の網羅的解析を行う。さらに(3) 発現変動の顕著な遺伝子の機能解析を実施する。具体的には、(1)スジキレボヤおよびカタユウレイボヤ幼若体をシャーレで飼育し、RNAを抽出する。RNA-seqおよび腸内細菌叢解析を、シークェンスまで外注し、現有PCワークステーションを用いてデータ解析を行い、発現に差がある遺伝子を見出す。(2)バナジウム含有量と成長度(体長・体重の測定)および健康度(主要な代謝系遺伝子群およびバナジウム濃縮関連遺伝子群の発現レベルおよび腸内細菌叢解析)を検証する。(3)特に顕著な発現変動を示す遺伝子について組換タンパク質を作製して機能解析を行う。幼生期に顕著な変動が観られた遺伝子については逆遺伝学的機能解析を実施する。
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